とある思想家だか、学者だかの理論である。

髪に触れるという行為は、Sexの次の段階に当たるものであるらしい。




 Before × After


手持ち無沙汰を誤魔化すように、というのが最初の印象。

次の段階は小動物相手。

それから。


「手塚ってさ、僕の髪触るの、結構好きだよね」

「・・・そうかもな」

ある日、思い切っていってみれば、其れがどうしたとばかりに短く答えながら、いつもの無表情で彼は僕の髪を一房食んだ。

歯は使わず、あくまで唇で行なわれるその行為は外から見たら睦事と思われるだろう。

しかし御互い、この行為自体に対し大した意味をもっていないことが承知済みなのが、どこかおかしい。

意味がないわけではないのだろうけれど、されている方は勿論、している方もわかっていないに違いない。

「でも、お前だけだぞ」

「そう?海堂のなんかサラサラしてさわり心地良さそうじゃない?後越前君も」

僕は言った。

そのサラサラが邪魔だから、彼等はバンダナや帽子に頼ったタイプなのは直ぐわかる。

其れに対して僕のは案外硬質で、見かけの印象よりはしっかりしているのだけれど。

「海堂のは、試しても後がな」

あー、うん。そうだね。僕には大した事ないのだけど(むしろかんげ―v)手塚には辛いよね、あれ。

「それに越前は、噛みつかれそうだ」

それ、一回本人の前でいって見せてよ。

思ったけど、先に聞くことがあった。

「僕はいいの?」

「お前になら、噛みつかれても構わん」



「変なの」

「そうかも知れんな」



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