メンデルっておっさんみつけた遺伝子の法則。
「いいもの」にある生存優先権。
それでも。
絶対残る、マイナス要因。


|||劣性遺伝子疑惑|||


「世の中のバランスってさぁ」
「ん?」
「いいのとわるいのと、両方あるからにゃんだよねぇ」
理科の教科書をひっくり返しながら、ぼやくようにいったエイジの言葉に、不二は奇異な目線をぶつけて問いに代えた。
「どうしたの?」
「んー。よくわかんにゃい」
ごろごろごろごろ。
エイジが自分の部屋の埃を着ている服にくっつけているのを見ながら、不二はさてこの猫一匹をどうしようかと思案する。もちろん、顔には出さないで。
「警察屋サンは犯罪者がいなくちゃ仕事にならないし」
「・・・・・・まぁ別に訂正はしないけれど」
普通警察に「屋さん」をつける人間はそうはいない気もする。
「リサイクルショップはゴミが出ないとなりたたにゃいよねぇ?」
いや、それもどうかと・・・
「何がいいたいわけ?」
「わかんにゃいなーって。それだけ」
「なにが?」

「男と女じゃなきゃ子供のこせないってあたり」

不二は思いっきり何か言いたい気分になったのを何とか飲み込んで、まぁ、そうかもね。と感情を抑えたような同意を口にした。

「僕と手塚の赤ちゃんなら、絶対完璧なのが生まれる自信があるのに」
「おれも〜。大石との赤ちゃんなら、絶対かわいくて丈夫な子が産めるのにー」

傍で聞けば突込みどころ満載としかいいようのない2人の会話だが、もちろん2人しかいないので突っ込まれない。
それが幸か不幸か、彼らの会話には拍車しかかからない。

「でも仏頂面が遺伝しちゃたら心配だなぁ。年不相応に見られて、幼稚園の頃から電車とかバスの運賃要求されたり・・・」
「それ、手塚の思い出?」
「うん。聞いた。納得するでしょ?」
「するー」

「俺も、胃が弱くなっちゃうのは心配かも・・・」
「英二が育てればその辺は大丈夫だと思うんだけど・・・」
「え〜。でも子育てってやっぱ2人でしてきたいじゃん」

あくまでも(本人たちの視点から見れば真剣な)発言の数々はあくまでもありえないことだというのを知っているからで、だからこそ、望みを総て音に変えていく。
其処には確かに、強い意志が存在していて、だから。

赦して欲しいなんていわないから、せめて。
この思いを残せる手段があればと。
叶わないと知っていても。

「アイシテルだけでどうにもならない事が世の中には多すぎるねぇ」
「ほんと」

でも、それだけで。
本能を凌駕している恋を捨てるなんて出来そうにないから笑えて来る。


えーっと。
これは完全新作。
この2人の会話って好きなんですよ〜
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