ミステルテイン
(Mystletainn)
北欧の主神、オーディーンの息子バルドルは、母の手でこの世のあらゆるものに傷つけられないという誓いを得る。しかし唯一つ、その誓いをもたぬ小さな神の国の片隅に生えるヤドリギと彼の弟を使い、悪神ロキは永遠の平安を司るバルドルの身を貫く・・・



傷のつかないこの身を

唯一貫くのは




 やどりぎのやいば




ノートをその時、見直そうと思ったことに深い意味はなかった。

ただ、なんとなく。

それは懺悔の為ではなく。

「らいと?」

「うん?」

「めずらしいな」

「たまにはね」

ベットに寝転がっているから、今は背後ではなく、目の位置から斜め前に浮いている死神と、短い会話を交わす。

確かに、こんな風に暇潰しのように自分が書いたノートの履歴を見るのはとても自分には予想できない行動であることに否定は出来なかった。

でも、こうしてみることで。

あぁ結局自分はこんな軽いノートで神だからこそ出来る行為を行なっているのだと。

改めて感じるのだ。

それは快楽にも、恐怖にも。同じだけの重さを伴い軋むのだ。

「ねぇ、リュ−ク」

「ん?」

「僕のヤドリギは、僕自身の手の中にある。
これは喜ぶべきことなのかなぁ?」

「やどりぎ?」

曖昧で不可解な言葉に、死神は曖昧に呟いた。

どういう意味だ?と問い掛けるのと同じだけの意味をだいた短い言葉に、新しい世界の神を目指す男はふふ、と小さく笑った。

それは「キラ」と呼ばれる男としてなのか、それとももっと別の、人としての彼の言葉なのか。

死神には知ることすら出来ない。

「ミステルテイン」

「あが?」

「神様なのに、知らない?
誰にも、何にも傷つかない筈の神様を、唯一刺し殺したヤドリギの刃」

最も、その話はあくまでも北欧の伝承であり、人々が作り出した物語の中にあって彼らのようにある種独立した「死神界」にそれが伝わっているとは思えない。

あくまでも、人の存在があってこその、物語なのだ。

其処まで思ってふと男は気付く。

果たして、人の世界と死神の世界は、どちらの方が先に生まれているのだろう?

人がいなくては彼らは生きていけない。

どの程度の「基準」があるかわからないが、名前がないとノートに記すことも出来ない。

・・・・・・・確認は、してもそれを知っている、もしくは憶えている存在がいるとも思えないので気にしただけで問うことはしないが。

「確かに、今のライトを傷つけるものはどこにもいないな」

「・・・・・・」

「出来るのは、DEATH NOTE位、か」

「そう」

「今のところはね」

でも、もう一つ。

目の前の死神の、その腰に下げているノート。

それから行動を伺っている死神界の住人たち。

彼らが少しでもつまらないと思ったら

きっとその内の誰か一人が、悪戯と怠惰の神の代わって、ノートに「夜神 月」の名前は書き連ねられる。


鑑賞者達を退屈させてしまうこと。



本当はそれが、自分にとって間違いない<ヤドリギの刃>




結構切羽詰っている月な話。
なんて自虐的なんだか。
多分一応自分への戒め。
ごめん。こんなの君じゃないね・・・・
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