やみよいのそら

しろいつき ひとつ


 Nocyurne


それは怯えた我侭であったのかもしれない

明日とも知れぬ宿命に

ただ、純粋な幼い自分を曝け出した


「恐くないか?」

「何故?」

「おちたら、死ぬぞ」

「死なないよ。
それとも君の眼の、僕のカウントはそれ程数少ないのかい?リューク」

試すような言葉と悪戯な声の響き。

自分の中でも信じられないほど子どもじみた感情を表に出して、ただ眼下に広がる地上の星星を眺める。

「・・・・・・・俺が、落とさないからな」

「うん」

この会話の成立の理由を信頼と呼ぶのか、それとも従順と呼ぶのか。

疑問視する存在が誰一人いないことは自分たちにとって幸か不幸か。

答えを出すには、地上は小さくなりすぎていた。

冷たく、確かな腕の中、ただ顔をなぶる強い風と大気の鋭さに心拍数が上がるのは恐怖ばかりではない。


自分の、夢見たものだ。


自分の手にしたものではないのだけれど、誰よりも信頼を向ける相手の手で、叶えられた。


うれしいと、思わないはずがない。

「寒くないのか?」

「ないよ。気持ちいいんだ。
なぁ、リューク」

「・・・・・・・・・?」

こんなに近いのに、声を張り上げないと会話も出来ない。
気圧と空気の振動数が違うのか、それともただこの風のせいなのか。
冷静になっている部分で下らない事を考えながら、一番知りたいことを口にする。


「死神界は、もっと、上?」

「・・・・・・・・・・・」

「困る質問なら、かまわないよ、答えないで」

僕と言う存在を支える腕の主は少しの間、有著したようだった。

それでも、応えの代わりのように、腕の力が強くなる。

「ここじゃない」

「・・・・・・・・」

「世界が違う。わかっているだろう?」

「解ってるよ」

大気圏に宇宙圏。

自分の世界の上にあるのは、ただ当たり前の空気の層。

現実にあるこの感覚の、主の住まう世界は其処に見つけることは出来ない。

「解っているから」

思い知らされることを怯えた自分が、黒い腕を掴んだ。


「らいと?」

「また、飛んでもらえる?」

「・・・・・・・・・かまわない。ただ」

「ん?」

「一つだけ。ちゃんと、林檎くれ」

安い、報酬だ。

本当に。

どれだけ人が、この空に憧れているのか、この異界の住人は知らないのだ。

そしてそれが



キラと言うもう一人の自分を選んだ自分の、最大の特権なのだ。


リュ月っぽいでしょうか?
お約束な感じで。空。
多分、ノートを封印する直前の話。
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