ダモクレスの剣 (TheSwordOfDamocles) |
古代ギリシア時代のシシリー島(イタリア南部)にあった都市国家・シュラクサイの王、ディオニシオスの頭上で髪の毛一本に支えられ、吊るされていたと言う寓話の剣。権力への戒めの象徴。 |
剣を自らの頭上に晒し
その恐怖に打ち勝たなければ
凍れる正義
人のため
世界の為
建前でもなんでもなく、自らが戒めるのは正しいと信じるが故の誓い。
その意思があるからこそ、僕と言う存在は「キラ」になれる。
自らのエゴと享楽に任せ、ただその名を我侭で理不尽な理由で其処に記するのなら、その時点で己の正義は崩壊する。
「・・・・・・・・・」
ふいに。
その真白いノートにある名前を記することを思いつく。
それは酷く自虐的で、遊びめいた自己愛の境地。
「ライト?」
気がついた時には既にその短い名はその場所に存在していた。
たった、2文字だ。
しかも名付けたのは大衆であり、「かれ」はそれを他者に認めているということを伝えていない。
「ねぇリュ−ク」
死神に聞いてみた。
それはとても、子どもじみた疑問。
「名前の定義ってなんだろう?」
「定義?其処に見える。それだけだ」
ノートを覗き込みながら告げる死神は、言葉の意図を理解しているのかいないのか。
彼にとっての真実はしかし、人の世界に生きるものには決して説得力をもつものではなく。
「だってLはその本名を誰も知らない。
勿論、ワタリさん辺りは知ってるかもしれないけれど、本名を呼ぶ人間は周りにはいない」
その「本名」を知る存在の前で、この言葉は少しおかしいかな。
少しだけ苦い笑いが、勝手に込み上げて来た。
「世界には、戸籍をもたない存在がいくらでもいる。
名付けられていない存在も、多分たくさんいる」
平和なのは、ごく一部。
それは解っている。
犯罪者と言う名前にはならない罪人が、世界にはゴマンといるという事実。
「昔は、改名なんて当たり前のことだった。
そういえば結婚と言う定義の後はその人の名前はどうなるのだろう?
お節介ながら、疑問ばかりだよ。
勿論、変化するにしてもその瞬間を見ていないときっとわからないことだろうけれど」
退屈だと喚いておきながらも、死神達が「知ろう」とすることに対する欲求の低さははっきりしている。
刹那的な快楽に身を置く彼らは、その時々目に留まった人の死を生きる糧に変えるのだ。
「ライト、何が気になっている?」
「別に。
何時僕が、君の目のヴィジョンの中で夜神 月から・・・・・・・・キラに変わるのかと」
「・・・・・・・・・・・・」
「流河が、Lと言う名を定義とする日がくるのかを」
知りたいと思ったんだ。
それはもしかしたら、遠くない未来なのかもしれないし、ありえないだけの未来なのかもしれない。
「ライトは、ライトだ」
死神はそれまでの考えをすべて覆してしまうように単純な事実を告げる。
そう。僕は僕。
「ありがとう、リュ-ク。
僕は夜神月。キラは偶像。それは事実だ。
しかしいつか誰かが、夜神 月を<キラ>に定義つけるかもしれない。
そうしたらここに書いた名は、効力を発揮するのかな?」
勿論、実験上、無駄だとわかっている。
それでも、もしかしたら。
白いノートの、犯罪者たちの名が連なる中で異質な2文字。
たった2つのカタカナが、自らにとってはとても重い「称号」。
奢る無かれ
剣は常に、その身を切り裂かんと刃を向けている
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