サラサラサラ






  OLD PAL





水分が少ない、縦筋の葉が、風に戯れ幾重にも音を奏でている。
心地好い音はけれどどこか現実味を欠いていて。
勿論、現実味のなさでいえば、自分の方も負けてはいないのだろうけれど。

「これ、なんだ?月」
「ささ」
「なんでこんな派手なんだ」
「七夕だから」
「たなばた?」
「中国の方から来た、非科学的な割にやけに現実的な伝承の名残りだよ。
恋に興じて本業を疎かにして上司の怒りを買ってしまい、年に一回の逢瀬しか赦されなくなったっていうね」
「なんだ?それ」
「そういう、昔話だよ。リューク」

慣れてきた、人に見えないものとの会話は風に鳴く葉の音にかき消されて他者の耳に届くことはない。
少しでも詳しい人間ならば、つい咎めてしまいそうな説明も、訂正されることはなく機会を永久に失ってしまう。
死神は自らに林檎をくれる人間にもらった言葉に納得してしまう。
ただ納得した後で、本来した質問が答えられていないことには、気がついたけれど。

「だから何で派手なんだ?」
「あぁ。笹を飾って、願い事を書くんだよ。短冊に。
自分達が逢える時、ついでに他の人間の望みもかなえる。
そういう言い伝えなんだ」
「・・・・随分よゆーがあるんだな」
「願い事に関しては後からついた愚の骨頂みたいなものだと思うけれどね。
叶うより・・・そうだな。誓いみたいなものの方が多いかな、自分自身への」

小さなスペースを使って、自由にその「誓い」を書き込める短冊に手を出せる場所があった。前には大きな笹があり、色とりどりの短冊が並んでいる。
小さな商店街の、些細な遊び。
ちらほらと客が付いたり離れたりしている中、人の流れが弾いたタイミングで人と死神はそこにたどり着く。
人は無言で、安物の色画用紙でできた短冊を手に取った。2枚。
小さく微笑し、一つを死神の前に差し出し、自身もまた、一枚に備え付けられたペンでなにやら記した。
それを見て死神も、自らの命を繋ぐ、現世にはないペンで独特の字を綴った。
戯れに。

「ちかい、か」
「ん?」
「なんて書いた?月」
「ひみつだよ。みちゃ駄目だからね」
「でも書ければわかるだろう?俺がみなくても」
「そうだね」
「だから、それはキラじゃないな」
「当たり前だろう?夜神 月の方だよ」
「ふぅん」
「じゃぁリュークは?」
「ないしょだ。
これに下げればいいんだな」
「あ・・・・・」

死神はその翼で、笹の一番上までいってしまった。
だれか気付くだろうか?
人では、そこにかけることが出来ないと。
仮にも神の名を関したものが、願い事を書くなどと。
その誓いは誰にも見えない。

人と同じ、小さな願いを。

リュ月ー。
なんとなしに学生時代っぽいね^^;
っていうかあまずっぱー(苦笑
タイトルは「古い友人」ですが
それ自身がかれらの願いと。
そう思っていただければいいと思います。はい
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