聖櫃 (Ark Of The Covenant) |
旧約聖書における、人と神との契約を記した<十戒の石版>を収める為にモーセが作らせた。 その約束の中には、偶像崇拝の禁止があったはずなのに。 |
なかなか丘から降りてこない預言者を待ち詫びた彼らは
牝牛を着飾り「神」に代えた。
彼らが購わなければならなかったのは
親子・兄弟同志での
血の贖罪だったそうだ。
購うべきもの
神は偶像の崇拝を禁じた。
しかし世界には十字架と像が幾つも並び
そして
人は
キラと言う偶像を受け入れた
「キラは神か?そうじゃない」
その自問は、ノートに「彼ら」の名を帰しながら、確かめるように月が口にした。
「ライト?」
死神は珍しい彼の独り言に反応したけれど、応えは無かった。
もしかしたら、聞こえていないのかもしれない。
それとも聞こうと、していないだけなのか。
「神は、僕だ」
人と、作られた<存在>とでは、決して違うのだ。
かといって、かの唯一神のように無駄な殺し合いなど望まない。
望むのは、「彼ら」の贖罪。
ここに記する存在がいなくなったら、全ては終わるのだ。
そこで始めて、神としての「夜神月」が降臨する。
「・・・・・・なぁ、ライト」
何度も繰り返して呼ばれ、月はふとこの部屋が自分一人のものではないことを思い出した。
随分長い同居生活だったはずだが、こうまで忘れていたとは、自分でも意外だと驚く。
「なんだい?リューク。もしかして林檎?」
「それも悪くないが、なんだかライト面白なことになってると思って」
「僕が?」
面白いって?
言われたことにビックリしたら、死神は音も無くずずいと月に詰め寄って、おぅ、と言ってくる。
「まるでライトの背中に、黒い羽が生えてるみたいだ」
「・・・・・・・・・・」
それはとても意味が深く、同じだけ曖昧な言葉。
「じゃぁ僕も、君の手を借りないで飛べるようになるのかな。
それとも・・・・・君の林檎不足による幻覚なのかな?リューク」
試すような言葉の、その挑戦的で不敵な色。
その白い顔に浮かぶ笑みが、すいと「人」に変わり、死神の目から黒い翼は消失する。
それで、いいのだろう。未だ。
本来、神など、
人のために何かしようとなど思わないのだ。
自分さえよければいい。
人など、その信仰さえあればそれを利用する位の存在としか見ていない。
考えてみればいい、人よ。
神々がうぬらに何をした?
救いは人の身であった存在からしか与えられぬ。
そして、彼もまた。
今、救いを持って黒き表紙のノートに購うべき血を持つ罪人を書き続けている。
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