覚醒は林檎の香りを伴った

悲鳴を上げて泣きたくなる程

それは甘い香りをしていた


HAPPINESS UNDER LOVERS


「起きたか?」

何気ない声はいつものように何気なく、そしてなぜかとても懐かしい気がした。

「うん。おはよう。リューク」

確認するように、そして同じだけの確信の中彼の名を呼ぶと、黒い影が背中にそのぬくもりを感じた。

ぬくもり。

かつては無かったものだ。

それはだから、自分が。

その背中の存在と同じになったことの証明そのものだった。

「ここが、そう」

「あぁ。俺の・・・・・すむ世界だ」

「違うよ、リューク」

目を合わせていなくとも、お互いの肌の気配が確かにこれまでのつながりを確信している。

呟いた言葉を理解したのか、黒い死神はそうだな、と言葉をいいなおす。

「俺達の、世界だ」

「ふふ・・・・」

その言葉に満足して身体を反転させた。

身体に抵抗はない。違和感も無かった。

まだ、この身の「形」は「人」であった頃とかわらないらしい。

「あの時」と、その身に纏う服も変わっていない。

「あれから、どれ位立った?」

「さぁ?お前しか見ていなかったから、わからないな」

異形はそしらぬ顔で嘘をついた、と直ぐにわかった。

大してたっていないのだろう。それだけは、確信する。

だが死神がそれを曖昧にしようとするのなら、今はまだ、それもいいだろうと思う。

今は、まだ。

この時間に甘んじろうと。

「ところでリューク」

だけれどふと、さっきから気になることを聞いてみる。

「なんだ?」

「何で名前呼んでくれないの?」

「・・・・・・・」

さっきから思っていたことを問い掛ける。

「先輩」の死神は珍しく困ったような顔をしてから、こんなことを云った。

「こちらに来たとき、一番先に目を覚ましたときに見た相手が、この世界での名を与える権利をもつ」

へぇ。

「リュークが僕の名付け親になるって言うこと?」

「あぁ」

「リュークに名付けてもらえるなんて光栄だな。
なんて僕のことを呼んでくれるの?」

「悩んでいる。どちらがいいのか」

めずらしいね。

君が、そんな事を悩むなんて。

「呼んで、リューク」

もう一度云うと、死神はとても困ったような顔をしてから、ゆっくりと告げてくれた。

「・・・・・・ライト」

笑みがじわりとこみ上げる。

聞きなれたはずなのに、こんなに嬉しいのはきっと名前が今、「特別」になったからだ。

「うん。リューク」

殆ど反射的に、自分に死神としての「名」を与えた死神に抱きついた。

自然にゆっくりと、唇がかさなると、甘い味がじわりと広がった。

同じ体温をもつ唇は、一瞬驚いたけれど。


失った命よりも。

この熱が。



きっと退屈から解き放ってくれるという確信があった。






と、云うわけで開き直った新シリーズ。
予想外に甘いよ、これ。
一応土台が「ETUDE」なので
Lもからみます(当分先だけれど)。
が、好き勝手にリュ月を濃く。
当分2人には新生活を楽しんでもらおうと思っています。
砂甘な感じで(親指グっ)
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