ほんの少しだけ期待した

あの目を手に入れられば

世界は面白くなるのだろうかと


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死神はすぐなんにでも興味を示す。

時として其れは煩く

同じ位に自分をも驚かせる。



帰り道。

学校から、家までの行きなれた通り。

車通りも少ない所をえらんだから、覚えた足は本を読みながらだって進める。

無言の日常。

だけれどそれは、たった一冊のノートが改変する。


あれはなんだ、あのガラスの向こうのものはなんだ、あの鳥の名前は?


くだらなく、些細なこと。

其れはほんの数年前にはあった、自分の中の好奇心。

これまで入っていなかった道に溢れる存在達を、人には見えない異形は片端からいとおしむ。

最初は、ただそれに付き合っていた。

どうせすぐ、自分と同じように厭きてしまう、と。

けれど死神は毎日毎日何かを見つける。

そして毎日毎日聞いてくる。

聞かれたことを答えられないなんて悔しくて、知識を総動員して死神の興味に答えを返した。

そしてそのうち、自分の目も何かを探す。

そして新しいものが、いつもどこかで生まれていたことに気付く。

それだけで、世界が変わる。

「この世界は面白だ」

死神は言った。

とても愉しそうに。

死神界では、総てが留まっているのだという。

だから、些細な変化も死神には新しいのだという。

そしてその言葉に。

あぁ、やっぱり。

この世界が愛すべき場所だと知らされる。


「ありがとう」

「?なにがだ、ライト」

「内緒、だよ」

大きな目をきょろり、と丸めた死神には、この言葉の意味はきっとわからない。

だけれど、説明するほどプライドは甘くない。

ありがたがれるなんて意外だ、どういうことだと絡んでくる死神の腕をするりと交わして、いつもより足を速めて家へ急いだ。


少しだけ早くなった視界の流れが、やっぱりどこか、新鮮な気がした。

これもまた、退屈が嫌いな死神が気付かせてくれた風景。

・・・・・・・・・・・・・ざぁあああああ(砂)
SS単品久しぶりでこれかい、と自分に突っ込み。
一応高校生仕様でございます。
ただまぁ、案外人に言われると、見慣れた風景でも違うものに気付くよな、と言うお話。
ライトが友人と帰宅する風景あったやん、とか言う突っ込みは無にしてくださいませ。
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