それはそれは

砂漠で水を求める人にも似て


お題:水
      Desert Rose


時折、彼は幼子のように体を丸めて眠る。

誰かに抱きしめられ、其れに寄り添うように。

時折、手首に絡む鎖を煩わしそうに鳴らしながら、天を抱く。

其処にいとおしい存在が微笑みかけているかのように。



其れらはとても些細で無意識で。

悲しい位に、優しく繊細な儀式のように。



キラと予感させていた頃の彼と、今自分が拘束している彼は全く違う。

こんなのはおかしい。

確信はあるのに、理由だけが霧散する。


明らかに違うと見せるのは、時折する行為の無意味さを自覚する、ほんの些細な日常の行動だ。

例えば、言葉の同意を誰もいないはずの背後に求めようとする。

 その後、自分が酷く傷ついた顔をしていることも気付かず、ただ自分が行なった行為に首を傾げて。

例えば、赤い果実を厭きることなく眺め続ける。

 私でもそれ以外でも、時としてかけられた声にすら反応しないほど、長く。

そして。

「・・・・・・」

眠りの中で、言葉にならない程小さく、誰かの名を呼ぶ。

 それは恋にも似た、切ない響きを持って私の耳に届いてくる。


誰を求めているのですか?

誰を待っているのですか?


聞いた所で、おそらく彼は答えられないだろう。

問われた理由すら、彼には理解できないのだろう。

其れほどまでに、今の彼は乾いていることを受け入れた砂漠のような命。

与えられることのない水を焦がれている、その己の心すら知らない。


いくつか、彼が答えられる範囲のことを聞いてみる。



林檎に対して、なにかしら思い入れはあるのですか?

答えはNO。

いや、正確に言うのなら、あのメッセージを思い出すな。

ほら、キラの残した。死神は林檎しか食べない・・・あれ?たべない、りんごしか、だっけ?


私の用意したフェイクの一つ。


その時の言葉の配置の不自然さは、彼にどんな印象を与えていたのだろう?



現在、恋情関係にある人間はいますか?

やはり、返って来るのはNO。

彼女についても、「付き合って」はいるが、それだけだと。

もしかしたら僕は、人間には興味がないかもしれない。

最もこの状況で、誰と付き合えって言うんだかって思わないか?


ならば貴方が焦がれているのは、人ではないのですか?

そう聞くと、彼は困った顔をする。

おそらく、自覚はなく。

そうして、どこか遠い目をしてこういうのだ。



多分、キラに焦がれている。

捕まえる、ということは、得として恋慕にも似ているから。



それは私にも言えることだから、わかる。

ただきっと、彼の其れと私の其れは違うのだろうなと。

無駄に確信する自分がいた。




と、いうわけでしてWJコミック未収録部分ネタばれ風。
あいや、なんかLがストーカーでライトが電波ッてる気が(汗)
ライトにとって、退屈を流してくれたリュ―君は水。
でも水の存在を忘れた砂漠は退屈から逃れたくてキラを追う。
そこにはきっと、あの黒い影があるはずだと曖昧に確信しているから。
(いえ、実際に今いるのは白い方なんですが・・・・)
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