寄りかかると

どこか懐かしい鼓動が、響く


お題:木

 Sun Onself


いい加減部屋から外にでれないというのは、一応普通に生活していた身分としてはかなりストレスがたまる。

とはいえ腕に巻きついた鎖を見せびらかしながら散歩にでる根性は流石になく、それでも満月に明るさを覚える夜に、とにかく散歩に行こうと運動不足の男を引っ張った。

ミサを連れて行く気はなかった。

外で騒がれたら、無駄に目立つこと請け合いだ。

「いいですよ」

まったく親しさを憶えない目付きの悪い「相棒」は端的に頷いたが、あぁ置いていけたらなぁ、と心の隅は無言で望んだ。

「どこにいくんですか?」

「公園」

会話として成立していない、と少し思う。

じゃらりと不快な音を立てながら、父や他のメンバーに一声かけてから一番近い、そして木々の多い公園に足を向ける。

とにかく息をつける場所が欲しく、なんだか無性に木に寄りかかりたかったのだ。

動かない、確かな感触が欲しかったのだと思う。

水を吸い上げる鼓動が聞きたかった。

出来れば、一人で。

正確には、きっと


この傍らにいる男とは違う誰かと一緒に。


誰かが傍にいる、ということに関しては、何故かあまり抵抗がなかった。

ただ相手がこの男であると思うと、かなりストレスだった。

「夜神君・・・・・・」

「うるさい」

見つけた自分の腕では抱えきれない程の年輪を重ねた芝の中の巨木に身体をあづけ、目を閉じた所で声をかけられたがとりあえず切り捨てる。

大人しくこの時間を過ごしたいのだ、たまには。

つい最近まで、ただの学生だったのだ。

ただ、犯罪を追うだけなのは、今の自分には重過ぎる。

何か欠けている、今の自分には。

こっちのむかつきをどうにか飲み込んだのか、Lは黙って鎖の限界まで離れて草の上に座り込んだ。

どうやら拗ねているようだが、可愛くないので却下だ。

其れを確認してから、もう一度木に寄りかかる。

水を吸い上げる音。

耳はその響きを、誰かの鼓動にすり替える。

(・・・・・・・)

誰かの名前。

思い出せない、呼べない名前。


僕の欠けた「なにか」。


それをもとめて、寄りかかるという行為を求める。

Lじゃない。

今の自分には其れしかわからない。


でも信じている。






いつか、答えがあること。

少なくとも、今この事件に関わっている以上。




見上げた夜の闇に、求める影が翼を羽ばたかせたような気がした。






あえないからこそのラブラブ。
けっこうそれが私の萌えらしいです。
リュ―クの存在を、何かに求める月。
でもそれは、Lには絶対回帰しない。
・・・・其れが最後の砦(笑)
なんかLはライト好き臭く見えるんですけどねー(ヒトゴト)
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