君を選んだことに

本当は深い意味はないんだ


CITY MAZE (2)


「ねぇ、ライト」

少女のどこか甘えた声が闇の虚空にとろりと溶けた。

その存在はその声に応じてゆわりと黄昏を現す。

「やぁ、ミサ」

微笑んだ綺麗な存在は、親しげに彼女の名前を呼んで見せた。

「なんだか凄く有名になってるのね、<キラ>。
なんだかね、ドラマにしよっていう動きもあるらしいわ」

「そうだね。ま、本人に許可を貰う手段も無いしね」

自分の「恋人」が死神として再び己の前に現れた時、彼女は純粋に喜んで腕を伸ばした。

心からその姿を歓迎し、再び「キラ」としての意識を持った彼に積極的に協力をすることを約束する。

彼女にとって、それは「素敵」なことだからだ。


彼女が最初にしたことは、さり気無く己の立場を利用して「都市伝説」を語ったことだ。

電話で、職場で、テレビで、道端で、ネットワークで。

ねぇ、しっている?

キラという名の天使の存在。

子どもたちのもつ春の氷のような曖昧なネットワークは、新しい伝説にわくわくした。

そして言葉の通りに、次々と犯罪者が死んでいく。


真実か、否か。


疑問を挟む隙もない。

生まれた真実は一人歩きを始め、たった一人の始まりとなる少女など、すっかりと埋没させてしまった。

「ねぇ、ライト」

「なんだい?」

「本当に、私はノートを使わなくていいの?」

「いいよ。ミサに人殺しなんてして欲しくないからね」

綺麗な死神は、優しい笑顔でそう告げた。

其れが彼女を喜ばせることも知っていたが、彼の本音は其処にはない。


既に「死神の目」を一時とはいえ持っていた彼女は、今現在死神の目を持っているライトからみればあっという間に「終わってしまう」存在だ。

彼女自身を終わらせることはいつでもできる。

ならば、生かしておけるだけの時間は、大事にしておきたいと思う。

自分のためにしか、正義は存在しない。

それがライトの確信であり、現実。


「ねぇライト。私はどうして驚かなかったのかな?
死神なんて、いきなり来たら普通ビックリするものなのに」

「さぁ?ミサが純粋だからじゃないかな」

きみのとなりにいたしろいしにがみ。

話した所で思い出せないのなら、悲しい話でしかないから黙っておく。

それに。君がこちらに来た時に、ちゃんと思い出せるだろうから。

それまで、内緒だ。

「ライトは私を喜ばせるのが上手ね」

「褒めてもらえた、ってことかな?」

「そうよ」

押さえ切れないように笑みをこぼしたミサに、黄昏色の死神は粉雪のような口付けを与えた。

くすくす、とお互いが笑い合い、彼女は鳴り出した携帯の音に答えた。


その彼女の死角に回りながら、黄昏の死神は闇の死神の腕の中に戻る。

黒い死神は複雑な顔でその姿を抱きしめ、ライトは酷いな、と笑った。



口直しさせて、といって、先程少女とは全く違う情愛を込めた口付けを交わさせて、そんな笑みは奪ってしまったけれど。

っていうか。
え?月ミサ?!とか思わないでください。
あくまでリュ月ですよー
レムが見たらむかつきそうな位
利用しているだけのライトなんですよー
っていうか。
口直しは酷いよ、ライト。
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