裁かれるということの

実は甘美たる真実


CITY MAZE(4)







「あぁ、やっときてくれた」

まだ昼間の、しかし街の濃い影に差し掛かったその場所で、男は呟いた。

それは薬と酒に掠れていたが、救いを手にいれた、歓喜の声だった。


絶望と自分には背負いきれない罪を抱えながら、男は町を彷徨っていた。

小さな紙切れを拾ったのは、汚れた裏路地で、其れだけがやけに白く栄えていたからだ。

そして其れを拾い上げた途端、「それ」に出会った。


綺麗な黄昏色の翼を背負う、世にありえない美しさを持つ天使の姿。


都市伝説だと疑っていた。

自分と同じ、自分から花にも出来ない子どもたちの幻想。

今だって、酒と薬が見せた幻だという予感を拭いきれない。

それでも、目の前にあるのは。


赦されし「死」への標、そのものだ。



「何でころしちまったのかわからねぇ」

「・・・・・・・・・」

「愛していたのにな。
守りたかったのにな。
どうしただろう?あいつは死んじまって、俺は捕まってなくて、何も出来ずにいる。
せめて自分で死ねればよかったのに」

男は懺悔と言うよりも本当に自分を理解できないとでもいいたそうに独り言を繰り返した。

目はうつろ。立っていること自体が最早彼自身の幻想であるかのように、現実感がまるでないまま。

「ただ、生きている」

「終わらせてあげるよ」

天使が告げた。

男にとって、最も欲しかった一言を。

「貴方はどう死にたい?楽に?それとも」

「あいつの、恐怖も苦しみも全て刻み込めるように」

男はうっとりと美しい声に答えた。

自分がいったい、どういう死に方をするのかも判らないまま、ただ望むままを口にした。

天使が其れを赦したから。

「じゃぁ・・・・・・名前を、名乗って。
君が、差し出すのは、君と言う人間を現す、固有名詞だ」

男は答えた。

それは、


自らの手違いでいとおしい女に、永遠に呼んでもらえなくなった男の名前だった。














裏路地で、心臓発作が原因で死亡した男を発見したのは夕方、その道を近道にしていた小学生の一団だった。

最初、その男が死んでいるとは露にも思わなかったと証言する。

「やってもっすごく満足そうに寝てるんやもん。
けどなんや、こないなところで寝取ったら風邪ひくでーって起こそしたらでれん、やろ?
そりゃめっちゃ驚いたわ。慌てて警察よんでん。もう救急車あかんわ、ってすぐわかった」

男は結局身元不明のまま、薬物と酒の過剰摂取が原因である心臓発作が原因の「病死」とされ、荼毘に出され、無縁仏としてちっぽけな形で奉られることになる。

大切な女だと言った存在と、同じ墓には入れなかった。

それが彼の、最も大きな罰だったかもしれない。

なんかすっごく方向がよくわからんくてすいませんです。
なんか関西に出張してますよ?!キラが。(この上ない自己満足)
というか、このシリーズいったいどこに行くんだろう・・・・・・(おい)
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