正しいと
そう真実ことの重さ
CITY MAZE(5)
「ライト、どうした?」
「ん?なんでもないよ、リュ―ク」
黄昏色の死神は、黒い死神に綺麗な笑顔でウソをついた。
付き合いは長い。
黒い死神は、だからウソをついていると判ったと、大切な黄昏色の死神には言わなかった。
彼は自分のウソが看破される事が大嫌いだと、ちゃんと知っていたから。
そうか、と。
だからいつもの調子で嘘吐きな後輩死神を緩く抱きしめて空中に寝転んだ。
重力に支配されない異形達には、場所なぞ関係ない。
ただぽっかりと広がる青の中で、静かな時間をすごすだけだ。
死神界を隠しておきながら、死神の存在をアピールする。
死神ではなく、「天使」と言う名で。
黒い死神は天使を知らなかった。
だがデスノートの欠片を「拾わされた」犯罪者達は、寧ろ憧れや尊敬を持って現れた「黄昏の死神」を天使だと呼ぶ。
勿論、黒い死神がその傍らにいることは気付かないまま。
だからおそらくこの黄昏の死神が、天使という奴なのだろう。
さっきもそうだった。
自ら進んで苦しみながら死にたいといった男に、「黄昏の死神」は天使と呼ばれた。
しかし実際に男は刹那の苦しみだけの心臓発作で、その場に倒れた。
一言、おそらく彼すら理解していない言葉を残して。
「人殺しを殺す天使は、誰に裁かれる?」
天使ではない。死神だ。
そんな黒い死神の声は誰にも聞こえない。
誰も耳にしていない。
ただ一人、天使と呼ばれる黄昏の死神が、小さく口元を歪めるだけ。
「・・・・・・・・・死神は裁かれない」
死神が、呟く。
天使と呼ばれる、死神が。
「其れが営みだから」
「・・・・・・・・・・・」
「其れが、存在理由だから」
言い聞かせるようでも、ただぼんやりと思いつくばかりの言葉を並べているだけのようにも聞こえる。
だから黒い死神は沈黙する。
腕の中で、同じ体温が、あるはずのない脈を打ったような気がした。
あの、人のころと同じように。
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