Light Writes Right. 月。その光は全てに等しくふりかぶる。 それは、夜空を巡る傲慢なる支配者。 星を、闇を、太陽に見放された全てのモノを従える、仄暗き情念を秘めた美しき王。 その名を抱く少年がいた。 月のように気高く、暗い情熱を抱え、闇に君臨した王だった。 周囲に光を投げかけながら、澱んだ闇を作っていった。 その名を聞けば人々は畏れ、その手にかかれば誰もがあっけなく生を終えた。 しかしそれは昔のこと。 今、王威は失われた。 「僕がキラでないことは僕が一番よく知っている」 「いい加減、僕をキラ扱いするのはよしてくれ」 ある時はうんざりと、ある時は感情的に。そんな声が閉鎖された空間に響いた。僣王とも知らず、それを狩り立てる為にかつての敵と手を組んだ王が王であることを否定する。 キラであった、キラと称され笑みを刻んでいた頃とは真逆の正義を掲げる月。過去の自分をそうと知らずに否定して、まやかしの悪を追い求める。 そんな自分の姿すら、キラとして策略を巡らせた自己の手のひらの上だということすら気付かずに。 今、この瞬間に。 この俺の姿が見えないお前の、その頭上に。 お前が幾百、幾千の死を綴ったノートを落としてやろうか。 そうしてお前の目を覗き込んで、「キラはお前だよ、月。」と告げてやろうか。 それともいっそ。 お前の名前を、俺のノートに書き込むのもいいかもしれない。 お前のためにお前を害する誰かを殺せば俺は死ぬ。しかし、俺のためにお前を殺すことは、死神にとって当然の摂理だ。 お前から奪った命で。 俺は、また退屈な時を生き延びる。 「月。早く俺を見つけろよ。本物のキラの後ろにいる、この死神をさ・・・」 クククク、と喉を震わせ、死神は嗤った。 月を見上げ、月を見下ろして、いつまでも。 「早く見つけないと、俺はそのうちお前を殺すよ」 どんな林檎よりも、お前の魂は甘美だから |
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