人に選ばれたのは

光か、それとも


CITY MAZE(6)


「おひさしぶりですね」

思いの外穏やかな声にミサは振り返った。

街中には似合わない男だ、と勝手ながらそう思う。

相変わらず顔色の悪い、好きなれない目をした男が其処に立っている。

「生きてたんだ」

酷く意外そうに言ったミサは、目の前の男に笑いかけた。

彼に対する嘲りはどうしても押さえ切れない。

それは「知っている」からに他ならない。


「えぇ」


男は短く肯定し、相変わらず探るような目でミサを見、そして問い掛けてきた。

「夜神君には逢いましたか?」

男の問いは酷く曖昧だった。

彼がそうと呼ぶのが、たった一人であることはよく知っている。

その言葉の裏にある意味は、どれ位かわからないけれど。

「夜神月には逢ってないよ」

ミサは正直に言った。

ウソじゃなかったからだ。

「少なくとも、Lって呼ばれている人間の探してる、ライトは知らない。
それじゃ満足しない?」

意味を含んでいることぐらい、頭がいいと呼ばれる男にはすぐにわかるだろう。


・・・・・・どうせ手が届かないのだ。


だとしたら、これぐらい、構わないだろう。

所詮、目の前にいるのは「人間」に過ぎないのだ。


「貴女も・・・・・・」

「・・・・・・なんだ、あなたも逢ったんだ。
ならいいじゃない。
どうせもう、人間であるあなたじゃ・・・・・・<ライト>にはもう届かないわ」

言い切ったミサは男に冷笑した。

まだ、勝てるかもしれないと夢みたいなことを思っている男が、哀れでならなかった。


人ではない。

人以上のものである。

そう受け入れることの感動を、受け入れないというこの男が。


「ねぇ、L」

「・・・・・・・・・」

「貴女が執着しているのはライト?其れともキラ」


少し、押さえ切れない怒りがそこにはあった。


両親が殺された時、何も出来なかった自分がいた。


解決できない公開は、人にはついて回る。

其れを知っていたから、ミサは苛立っていた。

まるで自分が全てを赦されると、総てがわかると、総てができると思い込んでいる人間に腹がたっていた。


「人間のクセに」

「・・・・・・・・・」

「ただの人間のクセに、キラに勝てるなんて思わないでよ」

不機嫌は治らなくて、ミサは踵を返した。

これ以上、不快な男に付き合う理由は見当たらなかった。


だから男が呟くさまを、彼女は聞き損ねる。


「・・・・それでも、彼は、人だったときに<キラ>だったんです」



人込みに、彼の呟きは飲み込まれてしまう。

誰一人も聞きとめることはない。

それでも、言葉は零れるのだ。


「人を殺すことが、正義だとは私には思えないんですよ」



本気でこれはいったいどういう趣旨の連載なのかちょっと悩む・・・・(汗)
しかしうちのLはめちゃくちゃ嫌われていますねー(笑顔)
さて、次回はどうなるのかもう書き手すら予想出来ません、マジで。
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