いつか満る時を待ちて
今はただ眠ろうか
To Wild Rose
抜け出た人の気配もない狭い通りに
花が咲いていた。
名など知らない。
死神に、花の名を知る必要などない。
映る視界に、カウントがあるわけでもない。
だが、その花は沈黙しながら、凛と存在しているその様は。
・・・・・・・・立った今別れたばかりの彼の人を思い出す。
「・・・・・・・」
口には出さずに、その名を呼んでみた。
返事はない。
いつも傍にいた存在は、今は、もうない。
「・・・・判ってる」
わかっている。
わかっているのに。
どうして、こんなに心苦しい?
ある筈のないココロが、悲鳴を上げている。
ありえないのに。
「・・・・・・・・・・・」
手がのびた。
確かめるように、その花に指を絡めようとするが、当たり前だ。
触れることは叶わない。
あの暗い場所は彼には似合わないから、せめてと思ったのだけれど、死神にはそんな行為は赦されない。
大体絆を失っておいて、何をと自らを嘲笑う。
「・・・・・・・・・・ライト」
お前は、いつか。
俺を呼ぶ日が来るだろうか?
「まぁいいさ」
いつか必ず交わる事実が存在している。
待つ事は苦ではない。
いつか。
枯れはしない花が手に入るのならば、刹那の物寂しさなど気にならない。
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