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霊界はその日もおおわらわだった。
使者を管理するこの場所は、日頃とても忙しいが、最近は「別格」といえた。
予定外の・・・しかも重刑対象者が只管多いのである。
これには最高責任者も頭を抱えた。
そしてこの「異常事態」の原因究明のため、水先案内人を通じ、人間界における霊界の委託機関ともいうべき人間に、調査を命じることを決断したのである。
Phychosomatic Disorder
・・・PRE STORY・・・・・・・・・・・・・・
1
「っていうわけでね。手を貸しちゃくれないかい?」
気風のよい姉さん口調で、彼女は店の店主に言った。
手元のラーメン器はすっかり空になっていて、つまり一応は客なのだが、店主は深いそうにしっしっと手を振った。
「俺がいったいそっちをどれ位前に引退したと思ってんだ、ぼたん。四代目使え、四代目」
「いっやぁそれがさぁ。あの双子、今年受験でv」
こっちは受験どころか生活かかってんだ。
定食屋を切り盛りする店主は、暢気な客にそういい返す。
いくら旧知とはいえ、できる事と出来ないことは別口だ。
「だいたい、例の事件なら人間界の警察だって動いているだろうが」
「其れとこれとは別なんだよ」
蒼いポニーテールを揺らして、彼女は声を上げた。
人の姿をしながら、人ざる存在。
そうである筈なのに、どうも旧知と言うのはその人の幼さばかりが目立つ。
「ぼたん、いい加減に・・・・」
「わぁーケイコちゃぁん、ゆーすけにおそわれるぅ」
「人聞きのわりぃことを言うな!」
ぼたんという名を呼ばれた女性は、冗談めかしてそう叫んだ。
明らかな目的をもって。
「あらぼたんさん、来ていたんですか?」
「ひさしぶりぃ、おかーさんやってても美人さんだねぇv」
知らぬではない人妻への軽口は、そのまま亭主へのヤサ当てだろう。
最も年相応ながら「お前のかーちゃん美人だな」と評してもらえそうな彼女は事にはなれていて、ぼたんさんこそお変わりなく、と事実といえばその通りなことを言って返した。
「今日は?」
「お仕事v」
「うちの宿六でよかったら上手く使ってやってください」
「あんがとーv」
亭主は無視されたまま、女同士の会話は弾んだ。
「けいこ、ぼたんを付け上がらせるな。
大体俺は魔界と人間界との仲立ちで結構ハードなんだぞ」
これ以上、厄介事を増やすつもりはない。
そう主張する男にぼたんは「つれないねぇ」とあまり深刻そうではなくぼやいて見せた。
「つれなくて結構。ったく暇人だったら飛影とかいるだろ」
「どこふらついているかわかりゃしないよ。
その上あれに聞き込みなんて出来るもんかい」
成程、最もだ。
「ゆーすけも聞き込みって言うのは上手くないと思うんだけど」
「いやいやけいこちゃん。自分の旦那を甘く見ちゃいけないよ。
これで結構人脈あるし、人好きする男だからね」
褒められているのだろうが、些か心地が悪いのはどうも調子に乗りたくない「仕事内容」のせいだろう。
「っていっても、相手は「キラ」とかってやつだろ?
聞きこむったって、なにをどうしていいんだか」
「んー。それなんだけどねぇ。
こっちも予測しか出来ないんだよぅ」
「予測?」
「おそらく、人間界に落ちた死神界のノート。
それが・・・・・・全てを司っているだろう、ってね」
眉唾だろ、それは。
そういう代わりに、浦飯 幽助は指を嘗めて自分の眉をなぞって見せた。
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