神様に尋ねます
僕は許されるのですか?








Clair de lune









その建物に入ったとき、死神は平然とついてきた。
多少なりとも抵抗があるかもと思っていたから少し意外だったがのだが。
そういえば別に「死神」に宗派があるようには見えなかったから、まぁそう言うものかと納得した.
それでもこちらの感情をどう拾い上げたのか「バチカンや熱田神社や、そうだな、高野山らは苦手だな」と思ってもみないことを言われた.
どういう基準だと一瞬頭を抱えるが、死神いわく「子供が喚くみたいでうっとおしい」という非常に分析しずらい理由があるそうだ
オカルトは苦手分野なのでよく分からないのだが、要はその土地というか場所のキャパシティの問題であるらしい。
こんな小さな形だけの教会とは違い、いわゆる「総本山」の場には、自分たちと違うものは有無言わさず近づくことを嫌がる。
文字通り「子供の理屈」が成立しているのだそうだ.
そんな一生活用出来そうもない雑学を聞きながら、本来の目的へと足を向ける。

「じゃぁこんなところに神様はいないかな」
「・・・・さぁ」

いわゆる神様って言う奴が実際実在するなんて信じていない.
信じているのは、目の前にいる死神だけだけだ。
もしかしたら、死神は神様と知り合いなのかもしれないけれど、聞く気もないし、多分はぐらかされる気がする.
神がいるなんて確信したら、なんだか危ない人間になりそうだし.

「で?抜け殻かもしれない神の寝台に、何しにきたんだ?月」
「ん?ごく自然な行為だよ」

寂れたその場所に、他の人間の気配はなかった。
申し訳程度のステンドグラスからこぼれる光は弱弱しく、中央を飾る祭壇も良く磨かれてはいたが荘厳と呼ぶよりも土着の素朴さがある。
全体的に薄暗い聖堂はひっそりと静まり返り、人と死神を無言で受け入れていた。

「静かだ」

死神が呟く。
かの存在が捕らえるのは人が手に入れることが出来る音だけではないだろう。
そうである存在すら、そこには沈黙しかないというのだろうか.

それは、どういう意味なのだろう?

「月」
「うん?」
「お前は、何を懺悔する?」
「そうだね」

別に、懺悔しにきたわけではない。
そういっても良かったのだけれど、僕は言葉を捜した。
懺悔するとしたら、それは。

「死神に」
「・・・・・・」
「神のこの目の前で、死神との永遠を誓うことを」

告げたその言葉と共にこぼれた表情は自分でも驚くほど穏やかで甘やいだ色を帯びていた気がする。
思えば自分からした告白なんて、この死神にだけだ。
自分の感情にすら鈍感なこの生き物が僕に思いを寄せてると気づかせるには、それしか手段がなかったから.

「許されたいのか?」
「関係ないね。僕が、僕に誓うんだ」
「・・・・・・・・」
「リュークは?」
「・・・・・・・・」
「リューク自身に、誓える?」
「俺は神に対して従う立場の生き物じゃない.
神、そのものだ」
「そうだね、一応」
「だから、誓うんじゃない」
「え?」

「示そう、自らの永遠を持って。・・・月に永遠を」
「・・・・・・・・」

それは甘さもなく、傲慢な神そのものの言葉のようだったけれど。

「絶対だからね」
「あぁ」

約束というには、子供じみた宣言だったけれど。

その時の僕たちには、必要な言葉の羅列だったのだ.

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ざー(砂)なんだこのばかっぷる(///・▽・///)
っていうか「結婚編(違う)」でした.
どうも最近本編を無視した話が多い・・・
(かえってきてりゅーくぅううん!)
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