選ばれた恋が 祝福されるとは限らないということを 彼に出会い、初めて知る ||||||WORD:選ばれた恋「凍れる祝福」|||||| 「夜神くんは」 「・・・・・唐突だね、竜崎。なんだい?」 「運命の出会いというものを信じますか?」 「いいや」 単純で夢見がちな問いに、彼はあっさりと否定の言葉を口にした。 それは極自然な口調で、運命というものを信じていないから事の強さを持ち。 「そうですか」 「残念そうに言わないでくれ。 ロマンチストには、キラを追えないよ」 「そうですか? 私は、キラとキラの持つ人を殺す力というものは運命的な出会いをしていると思っているのですが」 大真面目にそういうと、彼は薬とのどの奥で笑い、興味深そうにこちらを見た。 運命ね。 反芻する言葉に、特に感情はみられない。 隠しているわけではなく、単純に。 「運命だったら」 「・・・・」 「君はもっとキラに近づけたと思わないかい? 世界で唯一、キラを追うことを許されたロマンチストの名探偵」 皮肉な口調は何処か愉快そうに耳に届く。 勿論気のせいなのだろうけれど。 まるで、追うことは許されても捕まえる事は許されていないといわんばかりに。 「なら」 「うん?」 「夜神君はキラを、どう思いますか」 「どうって?」 「彼がなぜ、<人を殺す力>を手に入れたのか」 その言葉を、自分がどのような意味合いを持って口にしたのか。 うまく理解する事はできなかった。 ただ問いた相手はかすかに笑い、そうだね、と少し考えてから多分、と切り出す。 「偶然かな」 「偶然、ですか」 偶然を、運命にすり替える事はたやすい。 なのに彼はその逆を告げる。 無意識にだろうか?それを確信として。 「そう。敢えて言うなら俯いた視線の先の道端に落ちていた石ころ。 例えるなら間違えた道の袋小路に咲く花。 殺人能力には穏やかな表現だけれど、そういう意味合いだと僕は思う。 運命という程劇的な展開は無かったと思うよ」 「それはなぜ?」 「簡単だ。運命だと思うのなら、キラはとっくに表舞台に立っていただろうからね」 表舞台。 それは絶対的に可能な独裁政治。 キラの、選ばなかったもの。 「まるでみてきたかのようですね」 「まさか。 僕はキラを知らない。キラの力がどのように働くものかも理解していない。でもね、竜崎」 言葉は穏やかに、そして確信に満ちて。 まるで今間際否定したはずの言葉を、彼は形にする。 「僕にとっては、運命よりも偶然の方が。 仕組まれたゲームであるよりもイレギュラーなトラブルの方が」 それは。 彼に出会ったことを運命と信じた私を、全否定する言葉。 彼にとって、なにかがあったと伺える言葉。 「きっといとおしく思えるんだろうね。 勉強しか出来ないせいもあるんだろうけれど」 冗談めかした言葉の意味を、私はいつか知ることが許されるだろうか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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