一年の、その最後の日。 その年全ての罪が、払われるという。 キラの、その裁きという名の殺人も? =========== 大祓の夜 ================ 108つの鐘の音が響く。 それから逃れるようにして布団を被っていると、なんのいともなく死神が布団と僕の間に滑り込んでくる。 「どうしたんだ?ライト」 人のものとも季節のものとも違う独特の熱を、日常に迎えて長いような短いような。そんな曖昧な時間を感じながら、つい腕を伸ばすと、人の肌よりもレザーに近い感触が指先に触れた。 「月?」 「僕はね、リュ―ク」 「?」 「キラとしての紅く濡れた手を奪われたくないんだ」 「どういう意味だ?」 薄暗い布団の中、死神が問い掛けてくる。 お互い、何故か囁くような声になる。 まるで闇語りの様に。 他の誰にも、聞かせないように。 「12月31日は、その年の罪を全て払う儀式がある。 勿論、形式のことだ。 キリスト一人が死んだところで、人の原罪が払われたはずが無い。 殺人の時効は15年から20年に変更される。 罪は消えないよ。でも」 それが形式的なことであっても。 ノートという媒体を使って、人を殺したのは、自分。 その罪は、時効すら役はしない。 「血で濡れたこの手じゃなければ、君を抱きしめられないだろう?」 「そんなことをしなくても、ライトの体温なら俺は好きだ」 「どれぐらい?」 「林檎と、同じ位」 ふふ、と月は小さく微笑む。 それが死神の最も最上級の褒め言葉だと知っていたから。 「でも僕がキラを選ばなければ、君にはあえなかった。 だから僕は、赤い自分の手が好きなんだ」 「どれぐらい?」 「君と、同じ位」 「わかりずらいな」 「わかること、する?」 引き寄せて、口付ける。 血の味はしなかった。 するのは微かな、林檎の香り。 ならば此方はと気になって、死神の指を口に含んでみる。 死神も、誘われるように人の指に口をいれてみる。 人には林檎の味が、死神には少ししょっぱいその味が触れた。 「ライト」 「うん?」 「えっと」 「もっと?」 「あぁ」 紅い手を。 林檎の香りを。 罪を払われることから、逃れるように互いを貪る。 罪だとは、知っているのだ。 それでも。 もう戻れない。 神様にも、無かったことになんか出来ないし。 させない。絶対。 |
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