あの誘惑を口にしたことに
私は後悔しかしていない
|||WORD:後悔「路 SIDE.R」|||
その顔が輝いていくのが目に映った。
天を仰いだその横顔は、全身で降り注ぐ星の光に輝いて見えた。
渡したのはあの「目」。
寿命の半分を代価にした、異形の視界。
「綺麗」
彼女の第1声に、私は驚いた。
どういう意味だ?と問いた目は明らかな戸惑いの色をかくしきれなかったが、彼女は声を立てて笑った。
こんな目の何処に価値を感じるというのだろう。少なくとも、命がけで。
理解しかねる笑顔が、酷く気になる。
「人の目はこんなに美しいものを映さないわ」
珍しいものばかりが存在するこの世界では、見えすぎる視界は余計なものを映し過ぎる。
私は、自らで与えておきながらその視界に喜ぶ人間には戸惑いつづける。
だって罪なのだ。
彼女が選んだこととはいえ、提示したのはこちらなのだから。
「だからレム」
彼女は言う。
私はあなたに感謝している。
それだけは信じて。
キラの力になれるこの目を、私はキラと同じだけ愛することができるのだから。
そう告げる。
「死神の目って、すごい、素敵だわ」
「・・・・・・・・・・・ミ、サ」
「本当に、そう思うの」
「なぜ?」
「だってミサにとって、とても綺麗な世界を見せてくれたんだもの」
「きれい?」
カウントされる人の命の数字。
その力ない輝きは、終焉への導でしかないというのに。
この目を、もたらせなければ。
「レム。
私、とても感謝しているの。
この目を、一生愛しつづけられるわ」
「・・・・・・・・・」
私は天を仰いだ。
幾多もの星が瞬いている空はあくまでも日常の其れでしかないと思うのに。
それでも。
少しでも。
彼女はこの空が美しいと思うだろうか?
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