其れは大きくて綺麗な青いダイアでした。 元来、インドのとあるヒンドゥー教寺院に安置されていたシヴァ像の心臓に埋め込まれていたといわれていました。 勿論、そうと伝え聞くだけのお話なのですけれど。 けれど確かに今も存在しているそれは 大きくて綺麗で、珍しいダイアでしたので。 当然のように、盗まれてしまいました。 みんなのものを、独り占めしようとした盗人がいなかったら。 そのダイアも、不幸な宿命に彩られる偽りの運命をたどることも無かったでしょうに。 Bule Diamond Of The Crown CASE;00___ それは蒼かった。 「え?」 なんだか全然理解できなくて、ポツリと呟いた少年は、何度か瞬きを繰り返して首をかしげ、自分の中でコトを理解しようとしたが徒労に終わり、やっとそれが混乱だと、それだけを認識できた。 「なに?」 「死神」 それは応えた。 「しにがみ?」 「あぁ」 短い、会話とも呼べない単語の応酬だった。 少年は一生懸命そのことを考え、そして再び聞いた。 「きら?」 それは伝説。 其れは事象。 それは 人が名づけた神の名。 「違う」 死神と名乗った其れは言った。 あっさりと。 ためらいなく。 楽しむかのように。 「あれは、違う」 「別の死神?」 少年は聞いてみた。 死神がいるのなら。 きっとキラは、それの同類だと思ったのだ。 「いいや、あれは」 死神は言う。 少年には経験の無い、淡い睦言のように。 「死神と口付けを交わすもの」 神では無い。 そう告げられたことに、少年は意外と思わなかった。 「僕と同じ?」 「そうだ」 「ノートを、持つ、人間?」 「そうだ」 「それが、キラ?」 「キラと、呼ばれる存在の正体だ」 少年は黒い表紙のノートを眺め見た。 一人だけ、名前を書いた。 そうすれば、その人が死ぬと、そう書いてあったから。 その名前を書いた相手の死は、既に確認した。 だって目の前で苦しみだして、死んでしまったのだ。 「じゃぁキラは」 「?」 「僕の中にも、産れたんだね」 「そうだな」 死神は頷いた。 綺麗に笑った少年に、ためらわずに同意した。 キラは神 キラは事象 感染し、流動する天災 蒼い死神は、名乗らなかった。 名乗った死神が、ノートを持つものに情を抱き、己の世界で失笑を買っているのを知っていたから。 少年も名乗らなかった。 死神ともなれば、そんな行為必要ないと思っていたから。 それでも、絆は新たに人間界に降りたノートが知っている。 |
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