物語は紡がれます。
ゆっくり、じっくり、確かに確実に。
あることないこと織り成して。
それは姿を変え、名を変え、人の世を渉ります。

最後から2つ前の持ち主である女性の言葉です。

「私は、他人を不幸にしたものの方がラッキーアイテムになるの」











Bule Diamond Of The Crown CASE;01___












ひとりだけ、人を殺した少年は、その日から「殺人者」になった。





最初は少し気になっていた死神の影も、少しづつ日常になった。

テレビでは今日も「キラに殺されて欲しい」人間たちが報道されている。
けれど考えてみればいい。
表に出ない「殺されて欲しい人間」の、どんなに多いことか。
自分がそうだったから。

だから少年は、小さなHPを作った。
必死な人間でなければ見つけることの出来ない位、小さくて言葉少ない、たった一ページのHPだ。



本当に死んで欲しい人の名前と写真を送ってください。 


真っ黒な画面に、赤いリンク表示の一文だけ。
リンク先は簡単に借りられる無料メールサービスのアドレス。
アカウントは少し悩んで、分かりやすいものにした。
それは、稀代の殺人者の名前だった。


無口なHPを介して、少年が最初のメールを受け取ったのは開設5日後。
非通知のそれには。
画像は悪いが顔立ちは分かる中年男性の写真と、その名前。
そして一言。「その望みは祈りにも似て」



「随分詩的だな」
「必死、って言う感じじゃないよね」

死神の感想に少年は一つ頷き、しかし躊躇わず画面上に映し出された文字をノートに書き記してみた。
罪を告白した後、自殺と添えて。

結果に、興味を惹かれる事はなかった。
それはおそらく、「間違っていた」という事実がおきたとき、自分が壊れることを知っていたから。

少年は直後、HPを閉めた。
そして別のサーバーに、全く同じページをつくり、メールアドレスも変えた。
やはりアカウントは有名な殺人者を使った。
キラとは名乗る気が、欠片と無かったから。
そんなことを、誰からのメールが無くても、定期的に繰り返した。

時々たどり着いたメールの「相手」は、確実に仕留めた。
同じ形で。
徐々に物語が膨らみ始めるのを、冷静に見ながら少年は淡々と行為を繰り返す。
蒼い死神は其れを、無言で見下ろしつづけていた。


ある日届いたのは写真の無い軽いメール。
そのアドレスの「dn」といういかにもこの為だけに作ったと思わされる無料メールのアカウントに惹かれるように開くとそこには、たった一文。
中学生の英語のような、短いそれ。

「What color is make a note of you?」

其れは確実な、「キラ」からのメールだったと少年は信じた。

だから少年はメールに応えた。
新しいアドレスで。
 dn というアカウント。
全く別のサービスだからこそできる、同じアカウント。
短いたった一言で。

「BLUE」

「ノートは黒いぞ?」
傍らで死神が言った。
「いいんだよ、これで」
少年が応える。
ノートが黒いのなんか、知っている。
恐らく、「キラ」も。

メールはそれ以降、来る事は無かった。
それでも少年は、あの一文を忘れられない。
相変わらず幽霊のようにネット上をふらふらと彷徨い、時折訪れる殺意に応える。
それが、日常になっていった。



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相変わらず奇怪な話ですいません。
奇妙で静かで不可解で。
そして恐らく、狂喜。
果たしてあのメールの持ち主は、本当に「キラ」なのか。
其れすらわからないのに、心は躍らされている。
キラという存在を巡る一人の少年と死神の物語。
彼は「キラ」になりきれるのか。それとも・・・
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