世界は穏やかに変革を手に入れる。 そう。 ・・・・・・・・・たった一人の夢見人の手で。 Dolce Cantablle(柔らかく謳うように) 私はキラが世界の神になることを信じている。 私だけじゃないと思ってる。 寧ろ信じていないのは、愚かな一部の大人とあの探偵ぐらいだって、そう思ってる。 だって。 「ね、リュ―ク」 「なんだ?」 月に逢いに行く前に、黒い死神が物足りないと言ったから果物屋さんに寄った。 おいしそうなのを2人で選んで、月にも持っていこうか?って聞いたら、それなら俺が食べるってリュ―クはわめいた。 わがままなのに、なんか憎めないのはこの死神に悪気がからっきしないからかな? 子供って、こんな感じだよね。 結局一抱えも買った林檎を、今まで砂の林檎しか食べられなかった腹いせのようにリュ―クはかたっぱしからバリバリバリバリ。 芯の越さないの?って聞いたら、月に怒られるからって言った。 観てないのに、そんなこと言うなんてね。 少し笑ったら、何で笑ったか解らないって首を傾げられる。 そんなことされたら、益々おかしいのにね。 それはともかく。 「ね、リュ―ク」 「だから、なんだ?」 「林檎、おいしい?」 もっと他に聞きたいことがあったんだけど、私はさしあたりのないことを聞いた。 何のつもりもなかったんだけど。 「あぁ。だが」 「が?」 「季節が違うのか」 「え?」 なんだか死神は思案してた。 ショウ・ウィンドウ越しに、体ごと傾いていくのが見えた。 「なんか、味が薄い気がする」 「なんで?そんなことないと思うけど」 私は林檎を一つ手にとって見たけど、凄くおいしそうだ。 さっき一つ食べようとしたら、なんだかビックリする位泣きそうな顔で死神が此方を覗き込んできたから、食べるの止めちゃったけどね。 「変だな?美味いんだが」 「んー?なんでだろうねぇ」 その時は全然気にしていなかったんだけれど。 私はその意味を、後で知ることになる。 一つ残った林檎を、私は逢えた月に渡した。 リュ―クにも渡したから、って、そういうつもりで。 月は当たり前のようにテレビの死角からそれを放って、リュ―クに渡す。 それを食べた死神の「これは当たりだ」と言う反応と、その様子を見た月と。 音のない、あまやかなラブソングを聞いているみたいな気分になるなんて、悔しすぎる。 愛されることよりもその上に、何かがあると思い知らされた瞬間。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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