比喩でも皮肉でもなく。

実際人間よりも高い目線で世界を見下ろしていた「それ」は、

人間よりも多くのものを見つけて、無邪気に問いかけてきた。


それがなにか。


今はわからないけれど









    プラム・ブロッサム









「珍しいものをもっていますね」

「そうかな?綺麗だろう?」

探偵の言葉に、月は無作為な口調でそう切り替えした。

彼の手には手作りらしい栞が一枚、緩く閃いている。

先程まで彼が読んでいた本の、その狭間で役目を果たしていたものだ。


黒い色画用紙の上に、一・二輪の淡い紅が慎ましやかに並んでいる。

その上から透明なフィルムが、皺も空気の珠も入らず確かに綺麗に張られている。

しかし、大学生の男が使うには、些か違和感が拭えない。

「彼女さんから?」

思い当たることは他に無かったのだろう。

差しさわりの無い問いに、月は緩く笑って見せた。

「違うよ。僕が作ったんだ」

流石に、少しだけてれくさそうに。

どこか、あまやかな告白をするように。


「夜神君もこんな乙女チックなことをされるんですね。意外です」

「そうかな?僕は結構、細かい細工物って好きだよ。

まぁこれは貰い物だから、ちゃんと取っておきたかったんだけれどね」

「へぇ」

他人から貰ったものを、大切にする。

当たり前のことのようなのに、探偵は酷く感心した。

人を一段高い所から見下ろしている印象が、彼から離れないことが第一であろう。

それはそれで失礼な話だったせいか、話題はゆたりと変動していく。

「ウメ、ですか」

「そう。高砂っていう種らしいよ。花だけで調べたから、多少違うかもしれないけれど」

「今年のですか?」

「多分、ね」

彼には酷く珍しい、突然の不明瞭な返答。

覗き込んだ探偵の目に、どこか夢見心地の青年が映る。


「大切な相手から貰ったんだ。
だからこうやって、できる限り残せる様にしたんだ。嬉しかったから」

「どなた、ですか?」


探偵が問う。


好奇心で?


それとも完璧たる連続殺人犯に繋がる「何か」を求めて?


真実はわからない。


もしかしたら、単に醜い個人的な感情が故かもしれない。


しかし問いを受けた存在は相変わらずの夢見ごこち。


映らない過去を追いかけて。


ぼやけた昨日をふわふわとあるいている。


春の嵐の中、踊らされる花弁のように。



「ホワイトディにね」

「え?」

「何気なく貰ったんだ。手に届いたからっていって・・・・・・
イベント事なんて、知らなかったくせに、タイミングがよすぎてさ」


呟きに探偵への配慮は無い。

まるで、自分自身に語っているような。

「しっていたのかなぁ?」

「何を?」

「逢えなくなるのを」

「それは・・・・・」

うっとりと彼は呟いて、そのままふらりとその姿が傾いた。

まるで気を失ったようだったが、彼はあくまでも穏やかな寝息を立てた。

気が張っている毎日だ。

こういう風に、ふいに眠りに誘われることは探偵にもあったから、無理も無いと思う。

それでも。

探偵としては、本当に夢見ごこちだったわけの言葉を調べなければならない。

それは解っている。

記憶に無いのに、思い入れる人物。

彼に対しては一人しか思い当たらない。

「キラ」という存在。

けれど。

(私は知って・・・・・・正気を保てるのだろうか?)


抱く疑問の意味もまだわからないまま。

探偵は、怯えた。


真実を、ただ。知ることに。

「L」となってから、初めて怯えた。


すいません、変な話。
白月時代の月は時々電波説(あれ?
っつーか。
Lを最早道具としてしか見ていません、俺。
っていうかホワイトディなんです。
死神のさり気無く恥ずかしい真似。
そんな感じでお願いしm(ry
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