決して綺麗なだけではない伝承を抱くこの木を
この国の民は限りなく愛す









Allrgro ma non Troppo







雨は、黒いアスファルトを穏やかな色に染めた。

「サクラの下には死体が埋まっているんだって」
「ないぞ?そんなもの」
「そういうお話。
だからこんなに見事な色を見せるんだってさ」
「・・・・・・・・・・人間はやっぱりおもしろだな。
そんなことを考えているのか」
「面白い?」
「あぁ。面白い」
「それはよかった」

何気ない会話の結びとしては、奇妙な言葉。
もちろん、死神にはその時その言葉の意味に、首をかしげることすらなかったのだけど。

この上ない現実の中にいるにも関わらず、その人間は時折夢見心地の顔で奇妙なことを口走る。
まるで此方を試すように。

「ねぇリュ―ク」
「なんだ?月」
「綺麗だって、思う?」
「なにを?」
「さくら」
「この薄紅の花か?」
「そう」
「妙だな、とおもう」
「なんで?」

「何処も、この色だ」

死神は思ったままを告げた。
すると問いかけた方は一瞬目を見開いたが、ふいにとろりと笑った。

「そうだね」
「まるで、キラだな」
「え?」

「何処にでも在る。
そういう意味では、キラに似ている」

人間はとろりと笑った。

「そのイメージを死に繋がる花としていわれるなんて。光栄だね」
「え?なんだ、それ」
「さっきの死体もそうなんだけどね。
色々在るんだ、此花には」
「ふぅん」

その散る際、潔しとして。
その様を愛され、この国に浸透していった花。

どこにでもあるもの。
キラという存在にとって、どれだけこの言葉に重さがあると思う?

「月」
「うん?」
「お前は、似なくていいと思う」
「・・・・・・・・・・え?」
「お前は、お前のままで充分だと、おれは思う」
「そぅ」
「あぁ」

その言葉の意味なんて、何処にあるのかなんてわからない。
それでも。

都合のいいように解釈されることは、赦されるだろうか?
この心の弱さをただ形にせずに認めるというのなら。

M ・・・・・・・・・・・・・・・

えぇっと、その。
はいはい。
サクラネタをひとつ入れたほうがいいかなと。
で、これかい(^^;
何気ない、多分帰り道の会話。
それにしてもリュ―君は変なところで恥ずかしい。
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