例えばその足元がいつ崩れるか分からない曖昧なものであったとしても。
他に逃れる手段がないのならば、ただそこに訪れる終わりを頑ななまでの穏やかさで受け入れざるを得ない。








Affrettando










足掻くのはいやだ。
見苦しく、仮初めにも神の座に立つものとして恥としか思えない。

「むしろいっそ殺してくれと望む瞬間は、ないとはいわないよ。
神になることを決意したとはいえ、結局自分という存在は人間だから。
けれども、僕の傍らには僕の終わりを確実に知る者がいる。
これがどれだけ重たく、そしてすばらしいことなのか。
君は知っているのかな?リュ―ク」

言葉遊びの好きな、人の形をしたきれいな死神。
黒く明らかな異形の様を持つ死神は、自分がもたらしたノートに口付けをする人間を、そう理解していた。

人として生れ落ちること自体、かの人間には間違いであったのだ。

そうと信じてやらずば、今彼が抱く行為すべて、狂気と化してしまう。
彼が綺麗だから、彼が確かにまっすぐだから、黒い死神はそう信じることにした。

きれいなひと。

けれど黒い死神は不意に知る。

彼の美しさに偽りはないが、彼はあくまでも「ひと」であり、人以外の何物でもないということ。

それは。
人の視点であったり
人としての正義であったり

人ゆえの、大義名分であったり。

「生き急いでいるようだ」

死神は、一度だけ彼にそうと告げた。
もちろん、そんなのはただの感想で、彼がこの先どれほど生きるか、異形の目は明確に映し出している。
けれどそんなことを知らない人間は、本当に純粋な意志と目で、驚くほど切羽詰った生き方をしているように.

それは怠惰な是までの自分の生活を仰ぎ見ているからか.

口にしたそもそもの死神も、実は首を傾げてしまうのだけれど.

そして返ってくる答えは、もっともっと切羽詰ったような望み。
いっそ殺してくれ、なんて.

それこそ意外。
遺憾。
そして

なんて絶望的な望み。


「月は生きているほうが綺麗だ」
「リュ―ク?」
「それではだめなのか?」
「本当に。リュ―クは僕を喜ばせる天才だね。
そして僕を悲しませる、問題児だ」

綺麗な人は矛盾したことばかり言う.
喜んでいるようにも、悲しんでいるようにも見えない顔で.

困っている顔をしているくせに、なぜそんなことをいうのだろう?

「急いでいるんだ.それは確かなんだ.
でもそれは。リュ―ク.君のためだと言い訳させてくれるかい?」
「月は自分と人の世のためにノートを取った.
なぜ、傍観者でしかない死神のせいになる?」
「僕自身望みだけど、リュ―クのせいなんだ.
僕がリュ―ク、君を楽しませたい。
そして、僕が僕である今のうちに僕は君と同じ地位を手に入れる」
「死神すらその美貌と才で操るお前が?
すでにレムを殺し、あの探偵を殺し。
俺を林檎ひとつで操るお前が?」
「でも、僕はまだ神じゃない」

綺麗に綺麗に.
綺麗な人間はきっぱりと告げる。

急いで、そして.

恋しいと死神と同じ名に上り詰めるためだけに。


・・・・・・・・・・・・・・・
新シリーズの展開にびっくりしているのは
読者なのか編集なのか原作者なのか(笑
と、いうわけで久し振り(ごめんなさい)リュ月です。
おそらく原作における空白の4年枠。
しかしなんていうか、リュー君のいいまわしがびみょ。
多分DANDOH!!の拓さんと被ってる…
(キャラもそういえば。天然たらしで恥ずかしい言い回し)
うぅん、しかし今はちょっと原作の展開を見守りたい気分

だって予想してなかったよ?!さすがにあの展開は
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