Attacca
「ところで、2代目のL」
殊更その名を強調して、Nと名乗った人物が問い掛けてきた。
現状を見守るしかない状況にあっては、確かにもってこいのタイミングだったかもしれない。
「なんだい?N」
月という人間がその立場であったとしたら。
そのプライドにかけて、どうしても確認したいこと。
ただし、「キラ」でもある月ならば、決して問わないだろう、疑問。
「貴方は・・・・・・Lに本当に指名されたのですか?」
おそらく、継ぐ側としてこれまで生きてきたのだろう。
告げる声は落ち着き払ってはいたが、声の鋭さは隠しきれていなかった。
いや、鋭さ、というより。
(子供、だな)
癇癪とさして代わらない言葉の使い方に、そう思う。
「想像通り過ぎて、幻滅だよ。正当後継者殿」
「え?」
ついこぼした呟きは小さ過ぎて、向こうには届かない。
いや、どかなくてこそ、正解か。
「生前、冗談めかして私という人間に継がせるとは言っていた。
しかし勿論、お互い本気とは言いがたかった。
君がいたからだろう。N。
けれど、そうだな。私が、Lの後継ぎを招致した理由は・・・」
口元が、自然と綻んだ。
誰かに聞いたのか、何かで読んだのか。
記憶の片隅で面白い教訓がリプレイされる。
ウソを、つくときのコツは
「Lが<キラ>に殺される、その直前」
自分の都合の良い現実をチョイスしてそれを土台に
「私を見て」
物語を、創るコト・・・・・・・・
「確かに、笑ったからかな?」
Nは暫く、沈黙していた。
真意を測りかねたのか、それとも単に反芻しているだけか。
インカム越しにはわから無い。
嘘は言っていない。
Lは死の間際、確かに笑っていたのだ。
「月を、キラと確信してな」
くくく、と独特の笑い声が耳に届く。
全ての始まり。
少しだけ、あった心残り。
彼に、このリュークを紹介してやりたかったな。
彼の否定を覆した白き死神ではなく。
この。
全ての始まりの存在を。
沈黙を崩したのは、事態の変化。
恐らく望む答えではなかっただろうが、重ねることができるものでもなかったのだろう。
それは、もしかしたら
(DEATH NOTEなんかより、もっとずっと)
Lという存在が、呪われているかもしれない、とお節介なことを思った。
それが決して自分には届かない、呪いだからこそ。
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