「前回は話にインパクトを持たせるために簡略化して説明してしまったが、つまりこういうことだ。 この青春台界隈にて違法改造モデルガンが出回っている。 一定の数が確認されると、また安全だの保護だのの名目で部活や帰宅時間などに規制がかかることは受けあいだ。 いかんせん、世は並べて事なかれ祭りだからな、嘆かわしいことに。 まぁそんなわけでアホが馬鹿をやらんうちに片付けおこうという提案だ」 「購買ルートはじゃぁ俺が引き受ける」 「んじゃ、俺たちパトロール〜」 乾と菊丸の申し出に、一気に喋った手塚がうむ、と頷く。 たち、と言われた大石は、もはや反撃できるはずもなく、黙って従う。 ちなみに家業がある河村は大変申し訳なさそうに自体を申し出た。 まぁ仕方がないという判断の後、手塚は例によってふんぞり返りながら、きっぱりと告げた。 「今回は素人の作った素人の銃だ。 軌道は読みずらいし、威力は未知数。油断せずにいこう」 "プロ"という相手に対する怖さと、素人のそれは全く異なる。 いや、彼らも素人のはずなのだが、そこはそれ。 「で、手塚はどーすんの?」 「警察にいって件の応酬されたブツを見てくる」 来るか? って、みせてもらえるものではないと想うのだが。 「科捜研の所在になっている。ボロは出すなよ?」 「感謝します、伯父貴」 「your welcome」 「んにゃ?!」 「静かにしていろ、不二。問題ない」 いや、大有りです。 「っていうか・・・」 「こういうものは作り手のクセがあるからな。 見ておくほうが得策だと考えた」 「こ、交換条件は?」 「事件の解決だ」 それを持ちかける中学生も、OKする警察もどうなの、それ。 自分もいい加減普通とは言えない自覚はあるつもりなのだけれど、この人の隣にいるとどうしても突っ込みを任せられるせいか常識人に成り下がってしまう。 ・・・・・・・うん、不本意とはいわないけれど。 実際普通なら絶対入れない資料室に入ってしまい、色々物色できる状態に。 持ち込んだカメラで物騒なものを撮影する。 勿論現像にはだせないので、デジカメだ。 いつの間にやらはめた白い手袋で、手塚が取りやすいように配置してくれる。 「・・・手塚」 「なんだ?」 「・・・・ほんとに、乾から報告きくまで、コレに首突っ込む気、なかった?」 さてな、というかすかな笑みの物騒さは気のせいだろうか? 「さて、その辺りだが・・・」 「え、っと・・・」 なんだか聞いちゃいけないような気がして、言葉を躊躇うそのタイミングに。 「河村からか?」 携帯が、なった。 しかも、予想外の内容を持って。 「っていうわけで、手塚」 「うん?」 「多分、今日招集のかかった件だと思うんだけどさ。 取引現場みつけちゃったんだけど、どうしよう?」 「潰せ。許す」 「ん、りょーかい」 ・・・・・・ 聞けば返って来る答えなど容易に想像できただろうに。 (タカさんてば律儀なんだから・・・) こぼれそうなため息を飲み込む不二に、生真面目な手塚の顔が向く。 「想ったよりも早くケリが着きそうだ」 うん、そーだね。 これも日頃の行いかな? 「とりあえず、英二たちに向かうように連絡していいかな?」 「あぁ、そちらは任せよう」 ・・・・・・・・・・・
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