携帯の通話を切ると、一つ息をついた。
GPS機能を確認し、そっと電柱の辺りに隠す。
多分、応援くらいはもらえると想うから。
あぁ、カバンは持っていこうか、念のため。
素人同士なのか、何かでどちらかの落ち度があったのか、人気がないところとはいえやりとりが長い。
まぁだからこそ手塚に報告した後、息を整えるなんて悠長なことも出来たのだが。

この件には関わらないことで合意をもらえたのはついさっきのはずだ。
しかたない、とか仲間はずれじゃなく、お前がやるべきことは別だろう、と信じてくれる仲間が好きだ。
だからこそ、彼らがやろうとしていることに、こんな形とはいえ関わったのなら手伝いたいと想う。

「こんにちわ、尾にーさんがた。
ちょっとお邪魔してよろしいですか?」
「?!」
「っ」

驚いた顔が、こちらを射抜く。
それはそうだろう。
相手は学ランの中学生だ。みえないかもしんないけど。
いいごまかすことをあれこれ・・・勿論、喋る時間は与えない。が。

「うちの大将がご立腹なんですよ、その玩具のやりとりに。
やめていただけますか?あぁ、当然」

出来ないようにさせていただく方向で。

受け取り手の手からバックが落ちた。
思いのほか軽い音のそれから、素早く引っ張り出される・・・ライフルのモデルガン。

(・・・・・初めてじゃない?)

仲買人だったら、やっかいだ。
失敗したとしか言いようがない。
大元と末端を押さえなければこの騒ぎは収束とはいえないのだから。

(けど、取引自体であれだけ手間取っているとしたら・・・)

「まて、こんなところで撃つな!」
「せぇ!ばれたらそこでオシマイなんだぜっ」

安全装置のはすれる音。
いかんせん、それがわかる生活ってどうなのよ。
あ、拙い。
咄嗟に掲げたカバンのガード越しの、衝撃。

「なっ?!」

・・・すいません。これ、鉄板入りです。

「不良品かよっ」

そんなことはないと思いますよ?
んな馬鹿な。売り手も声を上げる。
とはいえこちらも表面には穴が空いてしまった。
素早くこちらもあけて、中から一枚の鉄の板。
理由は聞かないでください。お願いしますから。

「ひゅっ」

先手、必勝。
銃の弱点はタイムラグと数の限定。
それから距離感。
懐に入れば、こっちが有利。

「でぇいっ!」

踏み込む。
既に狙いがつかない至近距離。
半端な銃声が、背中を掠める。
・・・・いまだ。

抱え上げて、えーと裏投げなのかな?
とにかく柔道の授業でやったのを思い出して、思いっきりってわけにはいかないか。いかんせん下はコンクリート。

「ふぅ」

一息はついたものの、もう一人。
顔を上げた瞬間、絶妙の距離と、狙いで、その銃口が。

「・・・・・ッ、まず・・」
「さっせにゃーいもーん♪」

体を硬くした途端、びっくりするくらい暢気な声が耳を打ち、彼らの登場と相成った。



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あれ?というわけで、次回がにゃんこと飼い主編
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