ラフ・ステ PLUS フライング・コンベィネション 01 平和な日常は簡単に邪魔される。 少しでも、疑問を抱いたら、だが。 「あー。平和っていいなぁ」 春の陽気漂う研究室。 もっとも、半分以上が本に埋もれてしまっていては、心持薄暗いのが現実だが。 思わず呟いてしまった部屋の主…の代理である乾准教授は自分の言葉に思わずあたりをきょろきょろと見回してしまった。 別に、誰もいない。 だが自分が不要な言葉を口にしたのも、また事実。 「・・・・・・・・だいじょ・・」 うぶか、という根拠のない安心は結局口にはできなかった。 無防備な電話のサウンドが部屋に響く。 「・・・・・・・・・・、はい?」 「あ、乾?」 しかして電話の主は、暢気に陽気に明るく。 無理難題を仕掛けてきた。 締め切りが上がっててよかった。 そう思いながら、海堂は走っていた。自分の足ではなく、車で。 免許を持っていないわけではないが、普段はあまり使わない。 だが、必要だから、というのが、この行動の指示をしてきた乾からの言葉だったので、仕方がない。 また一体なにが起こるのかと全く楽しみではない疑問を抱きながら、少々手荒にハンドルを切る。 目的地は、京都の玄関口、JR京都駅の、八条口。 高速バス降車場所向かいのホテル用駐車場。 なんだってまたややこしいところに、と思いながら、途中チェックを入れようとする警備員を振り切って、アクセルを踏み、半地下の駐車場へ。 止まったのは10秒ほどか。 「隠れていた」二人がばっと飛び出し、後部座席に飛び込んでくる。 一瞬のゆれをアクセルを踏み込むことで押し殺し、再び外へ。 なにかしかけられたかとホテルが勘繰って鼻息を荒くするかもしれないが、それは申し訳ないが諦めてもらおう。 「ご苦労」 「ありがとね、海堂」 「いえ」 後部座席の、乾曰くの「招かざる客」…、海堂にとっては尊敬すべき先輩二人の声に、短く応える。 「それで。今回は?」 「家や大学は寄らない方がいいだろう。被害にあう可能性がある」 「はい?」 「あ、でも車のナンバーから割り出せちゃうかな?」 「偽のプレートに付け替えておきましたけど」 「流石」 犯罪ですが。 「ではどこか拠点を。 できれば被害は少ないほうがいい」 「なら、俺と桃城が生活していた竹林の辺りはどうでしょう?」 「家残ってるの?」 「仕事用にまだ借りてるッス」 「つぶれるかもしれんが」 「あんたら一体なにに喧嘩売ったんですか?!部長、不二先輩っ!!」 大体なんなのだ、さっきから。なに?その予想したくない予感とか展開の示唆は。 =========
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