「にぎやかにやってるねぇ」 千石は直らない寝癖を髪で弄りながらのんびりと呟いた。 実際人事で、ここは彼の自宅のリビング。 気を張る理由なんかひとつもない。 まったく。 あの手塚から電話とPCで「この文章をお前の知っている限りのマスコミ組に配れ」とお前俺の上司だったこと一回もねぇんだけどとつっこんでも聞いてくれない命令を受けた。 面倒だし政治関係は専門外だし、いかんせんじぶんまであぶない橋を渡ることになるような要請に他ならなかったが、ぶっちゃけた話、面白そうだから、で引き受けた。 あぶないならあぶないで、自分の身位護れないとこんな仕事はやっていない。 大物政治家の汚職告発なんて今時珍しくない。 というよりも汚職していない政治家っているのか?と想うほど、その類はどこもかしこも足の引っ張り合いだ。 そういう意味ならそれが一個くらい増えてもなんらおかしくないと想うが、少々そいつは保身に力を入れすぎたらしい。 同時にとあるテレビ局に届いた「最近自殺したといわれていたジャーナリスト」の手記にはびっしりとその関係の情報が書かれており、まとめられた形で各方面に送られたデータは「死者からの告発」としてむしろそっちがメインのように騒がれている。 現実に誰かが引き継いだと考えるよりも、時間差で告発されたように描かれているほうが遥かに話題にはいいだろう。 勿論、それを引き受けた相手がばれたくなかったというのもあるが。 「なんつーか、骨拾ったのが不二子ちゃんなら、まぁ理解できるんだけどね」 それこそ、悪魔との契約的な意味合いで。 一連事件の取り上げの中で、街中での民家発砲事件だけは公表を免れた。 少なくとも乾がみたどのメディアにも、警察関連の情報にも話題は上がっていない。 どこで「足止め」されたかはわからないが。 それにしても奇妙な表現だが、どうしても「免れた」が正しいと想う。 乾はようやっとありつけることが出来た海堂のお味噌汁を前に、ちょっぴり泣きながらそう考える。 流石に疲れた顔でいる海堂は手塚たちを車で東京まで送るという大役からやっと解放されたあと、めずらしく1日近くをぐっすりと寝ていたので、正直なにがあったかは聞けずにいるのはタイミングを逃したからに他ならない。 ただわざわざ「海堂」の車を使って向こうまで言った辺りは、ぞっとしないがややこしいをやってきたのだと想像はつく。 大体、逃げ回ってこっそり自分だけ安全圏で告発するなんて、手塚のプライドが許さないだろう。 ・・・・・・・・迷惑なプライドだ。 「ごめんな、海堂」 「はい?」 「結局俺参戦しなくて」 「しなくてよかったですよ」 「・・・・嫌そうな顔をしてるな」 「そりゃ…先輩が参戦したら最終的には精神的被害者の方が増えて告発ができなくなっちゃったりしては困るでしょ」 「・・・・・・・・・・おい?」 それはもしかしなくても俺の武器のことを示してるつもりかな?海堂。 いや、それより。 「っていうか、被害者って…」 「部長曰く、告発から警察が動くまでに証拠を処分されたらたまらないから、先に動けないように抑えるって…」 「乗り込んだの?!」 「・・・・・はい」 「・・・・・・なに考えてるんだよ、あいつぁ」 「・・・・"自分の勝利"でしょう。 あ、お茶いります?」 「ん、おかわり。ありがと、海堂」 ========== もうちょっと広い範囲で話を組まないと駄目だな…
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