TELPHONE









 side;inui×kaido

喋るのが、というよりコミュニケーションが苦手な後輩は電話でいつも戸惑うような口調になる。
それもけっこう可愛いし、そんな何気ないことでも一生懸命な感じがするのも自分の特権であるような気分にさせられたり。
優越感、といったら、不機嫌にさせてしまうだろうか。
それとも目元を赤く染めて、謗られるか、意外と冷静な目でなんスか、そのあほな発想はとか。
・・・・・・・思い起こすのは色々な表情だけれど、今この状況はもどかしさしかない。
確かめるすべはなく、今この離れている状況と言うのははじめてなことで。

「あー、なぁ、海堂」
「はい?」

「今、すごく会いたい」

俺が離れているときの君という、データが足りない。


 side;ooishi×kikumaru


「ん、じゃぁあと1時間くらいで帰るから」

電話を切った大石は、不思議そうな目線を受けて首を傾げた。
大学の友人は、すごく、何か言いたそうだが。

「なに?」
「いや、この年の若者が既に帰るコールってのも」
「縛れてるみてぇだなぁと」
「縛られてる?とんでもない。
俺が縛ってるんだよ。そうしないとどこ行くかわかんないにゃんこだからね、相手は」
「にゃんこ?」
「へぇ猫系のカノジョか。こんど紹介しろよ」
「駄目。じゃ、俺帰るから」
「え?まだ時間あるだろ?買い物でもよってくのか?」
「まさか」

1時間も待つ、って想っている恋人が30分できたら嬉しいでしょ?

「・・・・・お前、マジで飼い主気分?」
「否定はしないかな」



 塚不二・・・・・・

「あぁ、不二か?どうした。
・・・ふむ。相分かった。自分もでは外で済ませてくることにしよう。
うん?かまわないぞ。いつものだろう?了解した。
なに、お前に頼られるのは悪くない」

とても恋人相手の電話じゃネェな。
跡部は内心思いながら胸ポケットから一本の煙草を出して口にくわえた。
他のコトなら指示をしなくても動く後ろにいる存在は、こと煙草に関してだけは決して自分から火をつけようとしない。
かすかな仕草を持って、やっと動く。

「というわけで、暇にはなった」
「別にお前がその気でいないのなら俺も無理に誘おうとは想わんがな」
「じゃぁ金が有り余ってるんだ、奢れ。と言えばいいか?」
「はは、八つ当たりにも程があるみたいだが、まぁいい。
お前が不機嫌になるのを観るのは妙な優越感すらあるもんだ。
不二相手だけだろうがな」

電話ひとつ、一緒に住んでいるくせに、遅くなるからごはんを食べてて、ってその言葉だけで不機嫌全開な旧知の男に笑みが抑えきれない。

「まったく、これだから面白いんだ、お前は」
「別段、お前を楽しませるために人生送ってはいないのだがな。
まぁいい。美味いものを食わせてもらおう」
「あとでばれたら怒られないか?」
「まさか。気持ち味見という方向でキスのひとつでももらえれば勝ちだ」
「そんなものか」
「あぁ」


 桃リョ
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毎月1日夜19;00
勿論必ず、彼にあわせて。
1時間だけ。

それが二人の間のルールで、約束。
決めていないと、だって身動きが取れなくなる。
話すことなんてそんなに一杯あるはずないのに止まらなくて、びっくりするぐらいあっという間に過ぎた、1分が曲者。

「・・・時間、だけど」
「わかってる」
「切るの、桃先輩の役目でしょ」
「ん」
「ほら、はやく」
「・・・・・そうだな」
「なに」
「お前が、5分黙ったら、切るよ、越前」
「・・・・・・・・・お金かかって。
またこっち来るの遅れるんだからな」
「ま、そういうもんじゃねぇの?
どうせ俺ぁ江戸っ子だし。宵越しの金もてねぇのよ」
「俺はあいたいの!」
「俺もだよ、越前」


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