運命なんか、いらない。
出逢えたことだけを、ただ信じよう。
AQUA WALKER:NO PLAN
「帰る所なんて、ないよ」
家出かな、と桃城は少年を見て先ず思った。
彼に逢うのは2度目のことだ。
1度目が、忘れられない出会いだった。
だから、その名前はさらりと唇に乗った。
「リョーマ」
「うん」
その時名乗られた名前を口に載せると、雨に濡れた髪の向こうから不敵な目で頷かれた。
息を呑む程の確かな存在感。
惹かれる、と。それだけが真実。
「・・・・・・じゃぁ・・・・とりあえず、俺の部屋でいいか?」
「・・・・・・・・・・うん」
理由はないけれど、それが当然のような気がして、そう言った。
そうしたら彼は頷いて、俺のシャツに指を伸ばして・・・濡れぼそった細い指を躊躇いがちに降ろした。
どうせこちらも、濡れてしまっているのだから、今更気にすることもないのに。
家出か?
さっき思ったことをもう一度聞こうとしたけれど、心の内側がそのことを止めてしまった。
自分にも、覚えが無い訳じゃないから。
逃げ場所に、自分を選んだのなら、それも嬉しいことだと思うべきだろう。
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||