please!please! :01









「ほほいのほい〜♪と」

夕暮れの町並みの中、暢気な少年の軽い唄以前のリズムが緩く響く。
塀の上をふらふらと、だが確実なバランスで歩いていく。
通りすがりの人たちがぎょっ、っとしているが、本人は全く気にしていない。
学ランの少年は上機嫌だ。
明日は大好きな恋人とデートで、手にはそのデートに持っていくためのクッキーの材料。
予算より安く買えて(おつとめ品げっと!)想わぬ材料も手に入れた。
喜んでくれると嬉しいな。
そんな気持ちが足取りに出る。
少し遠回りになったのだけれど、気分はいい。

ふと聞こえた、妙な電話のやり取りを耳に止めるまでは。


「難儀しとるんじゃ、助けろ・・・・、にー?こちらが下手に出とるっちゅーのにっ!
こら、小林、切るなッ・・・、ったく。人の恩を忘れおって・・・
あー森とかどうじゃろ?

・・・・・・・・・・・はや?!明らかに小林が電源切らせておるじゃないか?!」

なんとも喧しい、アロハを着た謎のおっさん。
彼はそれからも何度か電話を操ったが、結果は惨敗だったらしい。
あからさまにまでがくん、と肩を落としている。

「じじぃに冷たい世じゃのー。こんな世の中に誰がしたんじゃ」

普通に考えたのならその世代を育てたのは嘆いている本人の世代だろ?とは想ったのだが、英二は言わなかった。
困っている人、なのは確かだったから。

「んで、どーしたの?じーちゃん」
「迷子じゃ」

あまりにその物言いが漢前過ぎて、英二は塀から落ちそうになった。

「というわけで、ここはどこじゃ、少年」
「青春台。わかる?」
「・・・・・・・駅を教えてもらえんかの・・」
「いーよ。そんな遅くないし」
「助かるぞぃ」


「それにしてもじーちゃんどうやってきたんだ?
地名もわかんないなんてさぁ」
「なに。気の向くまま、風の向くまま…にふわふわしとったら、いつの間にかのぉ」
「ふわふわ?ふらふらじゃないんだ」
「おかげで迎えに来てくれと頼んでもスルーじゃからなぁ」

・・・・・・・それは、むしろいけないんじゃ。

「遠いのかな?」

戻りたいという町の名前を、英二は知らなかった。
まぁ鉄道を使えば、帰る手立てはどうにかなるのだろうけれど。

「都心は抜けたからのぅ。
丁度反対側になるのかもしれん」
「んげー。じーちゃん根性あるーっ
うちの練習馬鹿コンビでも、マラソン強制マニアの部長サマでもその距離はないよー」
「まだまだ若いもんにはまけんからのぉ」
「おー」

面白いじーさんだなー、とか思いながら、結構たのしく駅までついた。
お金ある?
聞くと大丈夫じゃ、とTASPOを取り出す。
成程、大丈夫そうだ。

「んじゃ、俺いくねー」
「すまんかったな、少年。
例と言ってはなんじゃが」
「え?そんなのいいよ」

実際、そんなつもりはなかった。
困った人がいたら助けるのが当たり前の恋人がいるから、自分もそんな人間になりたいと考えている、本当にそれだけの行動なのだから。

「わしの自己満足じゃ」
「うん?」

「おぬしに、魔法を上げよう」
「まほー?」

・・・・・・・・・そりゃ、多分25歳どころか30歳までどーてーだとは思いますけど、ちょっと気が早いって言うか、えーと?

「果たしてっ」
「ふにゃ?」

「砂糖を筋力に変える能力、じゃ」

・・・・・・・・・・はい?と想った途端、とっさに差し出された手に握手した。
ら。

なんか光って、あれ?って想っている間にじーちゃんはそこからいなくなっていた。




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こっそりリンク話ですが、まぁテニスだけでわかります。
奇妙なじーちゃんはスルーしておいてください。
というわけで2月は大菊でまじょっこですとも(マテ

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