|||特別仕様|||




「大石!お誕生日おめでとう!」

迎え入れてくれた彼に、英二は全身で「大好き」を伝えながら抱きついた。

普段よりも少しだぶついた服装はいつもよりもいくらか地味で、どちらかというと大石の趣味にあっているもので・・・

総てが不意のことにも拘らず、見かけよりもずっとしっかりした体と腕の持ち主は、揺るぎもせずにさせてくれる。

「有難う、英二」

そして英二にとっては太陽の笑顔で、めいっぱいの優しさを込めた声で、自分のした事に感謝してくれる。

どんなに。その行為が恋しいことか。

「えっへへ〜。ね、大石。おれのプレゼント受け取ってくれる?」

「え?あ、うん。それは勿論だけど・・・」

手ぶらの姿に、何を言われるかとも思ったのだろう。

僅かににごった言葉が、今の英二には悪戯の成功した時の気分を作る。

とりあえず、中に入って。

促されるまま入って、扉のしまった音を背に、キスをせがんだ。

これがプレゼントなのかな?

深くなってくる唇越しに伝わってくる疑問が英二をくすぐったく思わせたけれど。

それには答えず、もつれ合うようにして彼の部屋まで進んだ。

立っていることすら億劫になっていって、倒れこんだ先では柔らかな、大石の匂いがするベッドが受け止めてくれた。

「で?プレゼントって、何?英二」

「服」

「え?」

意外だったのだろう。

あまり財布の紐が硬いとはいえない英二のことだから、高いものなんて買わないとでも。

それは心外なんだけれど。

「ねぇ、大石」

「?」

「服、大石にあげるの」

「え・・・」

「だから・・・脱がせて」


腕を伸ばし、その空に彷徨う指先を、彼の人の首に絡ませ。




「帰る時、どうするの?」

その「プレゼント」をちゃっかり受け取りながら、ふと大石は問い掛けてくる。

すっかりと「受け取られてしまった」英二は言われてからあぁ、そういえば、と気付き、どうしよう?と聞いてきた大石に笑いかけた。


どこか艶やかなそれを見て、大石は不敵に笑い返す。

「なら、俺の服を貸して上げる」

「うにゃぁ?」

「それで、今度ちゃんと返しに来て」


優しく告げた言葉は逆に、つまり。


「うん」

蕩けた笑顔で答えて、英二はその。


優しい命令(我侭)に幸せそうに微笑んだ。

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