One×Birth×Day サブタイトル。「全国レベルの中学生にお盆なんか関係ないです。」 「あ。今日橘の誕生日だ」 「は?」 青春学園中頭部、テニス部。8月15日の昼下がり。 いきなり言った乾貞治の科白にそこにいた面子、海堂・不二・手塚・大石・菊丸という、一体なんでこんなそろいかたしたんだろう?ってメンバーはキョトン、とした。無論、数名は傍目には全くわかんないんだけどさ、困ったことに。 「たちばなって―――?あの元だいぶつらいおんー?」 通称乾ノートと呼ばれる怪しさ絶好調のB5ノートを広げながら、当たり前のよーに海堂の重箱をつついている男に案外ストレートに聞いたのは先日まで京都にいっていたという菊丸だ。 因みに彼の方も、当たり前のように、一緒にいった相方、大石に弁当を作ってきている。 勿論、鮭フレークでハートマーク作ってあるような、本格的アイサイベントウを。 「不動峰?もしかしなくても乾、そんなことも調べているんだ」 一見して小洒落たイタリア風ハンバーガー(パニーニ)の筈なのに妙に赤いものが見え隠れしているらしいそれを食べながら、不二様がニコニコ参戦してくる。 「相変わらず、どっから仕入れてくるんだか・・・」 大石が「流してもらう」つもりでからかいの色を零す。 しかし人間、なれないことをするものではない。当然のことながら、次の科白など、期待していなかったのだから。彼は。 「やだなぁ、大石。穴だらけミスだらけの国民番号制度から個人情報を掻っ攫ってくなんて、不二のデータを図る苦労に比べたら月とスッポン、氷帝と銀華の人気差ぐらいに難易度が違うよ」 はっはー。とかノンキにいう乾。其れに対し、ボソボソと海堂が呟く。 「・・・先輩。前者はともかく後者は比較としてどうかと・・・」 「びみょーなのにゃぁ」 いや、問題点は多分其処には無くって。 「・・・乾。グランド49週。」 ぽつり、と和食を楽しんでいた部長が通る声で告げる。 とりあえず「昼休みが終わってからでいいぞ」と付け加えられたり。 「・・・手塚。何でそんな不吉な数値を不条理にも押し付けられるのかなぁ?俺は」 だが其れに応えたのは不二の方だった。 「結局手塚って言うのは走らせるのが趣味なんだよねー。犯罪の方は黙っていてやるからおれの趣味にぐらいは付き合えって?」 「少年(ザル)法も幸い、説得力の無い外見だしな?・・・いや。もう正規の法で裁けるか?」 ま。 「同類にいわれても」 注。外見限定。 「追加しようか?安心しろ。骨は拾ってやる」 「そしたら海堂に届けてね。遺言」 「いらないっす」 海堂、即答。 「ところでたちばなのはなしは何処に行ったにゃぁ?」 「愛の無い人間に話し書かせる方が間違ってるんだよ、エージ」 「ふじぃ?そんなものなのかにゃぁ?」 そう。そんなもん。 他校の部長の誕生日っていったって、関係ない連中には話題の欠片にもなりゃしない。 日常の中で、思い出されたぐらいで結構、運は良かったのかもしれない。なんて。 因みに。青学名義で大石が先日、(彼のオススメの)胃薬を不動峰中に送っていた、なんてのは、流石の乾ノートにも書いていない。 ONE×BRITH×DAY 2・・・・神尾編。 「あ。今日神尾の誕生日だ」 「・・・パターンを止めろ、乾」 手塚、即突っ込み。 因みに現在の面子、部室に手塚、乾、海堂、桃、リョ―マ、河村。 意味とか理由とかはこの際無視する。 たまたま、そういう面子になった時に話、ということで。 「神尾って、ふどーみねのリズムっすよねぇ?」 「あー。あのき○ろう・・・」 髪型限定。あ、あと生足つき。 「越前・・・お前結構古いアニメ詳しいのな」 「向こう(アメリカ)は結構おおいっすよ。古いですか?」 うん、古いです。有名だけど。 其れで通る印象を残す、なんていうか一見不健康そうな選手を、桃城は思い出した。 なんといってもダブルスまでした仲(?)だからそれなりに印象深い。 「うん。その神尾であってると思うよ」 ほかにあんなわけの分からん口癖の人物、記憶にも記録にも無いし。 「ところで先輩、何でいきなり不動峰の人間の誕生日を口にスるんスか?2度目っすよ」 海堂はちょっと頭痛気味に訴えた。 「うーん。どうしてだろうね?上からの都合?」 ・・・閑話休題。 「でも乾凄いよね。もしかして他の学校も?」 タカさん、素直に(?)褒める。 「レギュラーはとりあえず全部制覇してあるよ。あと、血液型」 「・・・あんた、絶対変だ」 でもそれが乾貞治だし。 「で?それがなんだって?」 「いやぁ、誕生日だなぁって」 「それだけ?」 それだけ。 「あっちだと誕生パーティーって派手そうだよね、皆仲いいから」 うちより、なんていうか、友情的つながりが。 青学はなんていうかねぇ、細切れつながりと部長の俺様マラソン命令で何とかまとまってる気がするって言うか。 「菊丸先輩辺りに頼んじゃうと速攻で楽しいパーティーを用意してくれそうっすけどね」 楽しくなさそうに王子、一言。 「でも菊丸先輩とは絶対共同戦線張るのはあの人だろ―な、だろーから・・・」 すっごく恐いことになりそうな気もするし。 「で、うちの学校で一番近い誕生日誰なんすか?」 「んー?知りたい?」 「・・・そろそろ、帰るか・・・」 部長、わざとらしく帰宅を告げる。 ・・・バカだよ手塚、と河村はのどの奥に言葉を詰まらせた。 一応練習終わってたので、これから走らされてはたまらない。 「じゃぁ企画立ててもらわないとね、あの3−6コンビに」 「たのしみだなぁ」 「おい・・・話が可笑しい方向にいってるぞ・・・」 不動峰の話題はどうした。 「・・・他校の話題なんてそんなもんだろうな」 つまり。そういうこと。 |
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