「英二」 聞き慣れた声と共に視界に映ったのは、白い箱だった。 組み立てるタイプの独特のラインが入っている底が見える。 「にゃ?」 ビックリした英二は、がばりと起き上がった。 自分が、今まで寝入っていたベットから。 声の主はちゃんとタイミングを見て箱を直撃から逃がし、にっこりと微笑んで優しいおはよう、とごく自然なキスを与えてくれた。 おはよぅ、とやっぱりまだ全てを把握し切れていない声で答えながら、英二は来訪者をまじまじと見てみた。 じゃぁまた来週ね。 週末の一言が思い出される。 だから英二はあぁこの人は今週末は遊んでくれないんだな、ってわかってて。 余計なことは言わずに、じゃぁまたね、ってその時は別れた。 でも今日は日曜日で、まだ「来週」じゃない筈なのに。 「どして?」 「なんで?」 「来週っていった」 「週は日曜日から始まるんだよ、英二。 カレンダー、そうなってるだろ?」 諭すような口調で、先生か何かのように教えてくれる。 それが屁理屈だって事位、不貞寝していた寝ぼけた頭でもわかるのに。 でも、この人の言葉だから。 「そなんだ」 「うん」 納得してしまう。 これもやっぱり、惚れた弱み? 「で」 「ん?」 「なに?」 「お誕生日おめでとう。英二」 「ありがと、大石」 「ケーキ、食べる?」 「どこのどこの?」 「英二の好きなG・Eのとこの」 「本当?」 「勿論。ちゃんと蝋燭も、ね」 「〜うにゃぁ」 「消したいでしょ?」 「ん」 「紅茶も買ってきたから」 「勿論大石と一緒だよね?」 「俺も食べていいの?」 「大石とじゃなきゃ食べないから」 「・・・・・・・じゃ、食べようか」 「ん!」 |
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