コバセンの「神の代理人」としての世界設定には
「特殊能力を持つ"普通の人間"」という存在に対し、
「確認作業」というものを行うことになっています。
なんというか、まぁどんな力を持っている人間がいるか
その「力を持つ人間」の思考パターンといいますか
その方向性を確認するという任務があります。
他のメンバー二人はあんまり自覚がないよーな気もすry
     
そんなベースでいくつか






その1;「はらきよ」リンクパラ
はらったまきよったま(中貫えり)
基本的にはお祓いラブコメ(?
ただし時間軸は第2シリーズのJJ
本気で知らないとわけわからないっちゅー
書き方をしてしまった・・・orzごめんなさい



「ここか」
「うっわぁ、すっごい洋館!ここに住んでるの?」
「すんでるんだよ・・・ったく、ふつーになんかこぅ、むかつくよな」
「さらっ、と言った。さらっと」
「おれはでも、コバセンとくっつけるくらいの狭さがいいなぁ」
「・・・・・・・・」

「というわけでいくか」
「おぅ」

ぴんぽーん

「たーのもー」
「ちょ、ちが」
「はーい。えーと、どちらさまですか?」
「神輝会の代表がここに住んでいると確認したんだが、通してもらえるか?」
「輝ちゃんですか?はーい」

「てるちゃん?」
「あぁ。神楽坂輝、の名前だろ」
「綽名についての発想ってやっぱ強いのね」
「まぁそういいたかったら言っててくれ」

「てーるちゃーん、お客さんだよー」
「客ぅ?そんなん来る予定ないて…っていうか誰やねん」
「知らない人」
「だからその知らない人間をへーぜんと、サクッとふつーに家にいえるんやないわぁああ!この警戒心0おんなぁああ」
「大丈夫だって。なんかどっちかっていうと上質な霊気持ってるし」
「だからっていい人間とかぎらんやろ。ぼったくり牧師もいるご時勢やで」
「てるちゃんとか?」
「いよぉおおしっ、表でろや、麦子っ」
「お客さんとお話終ったらね」
「あ?やから客なんて・・・」

「邪魔するぞ。神楽坂輝・・・くん、か」
「誰や?人間らしからぬ気ぃ捲きちらかして」
「散らかしてるって、コバセン」
「自覚ねぇよ。まぁ、挨拶に寄らせてもらった」
「挨拶?」
「あぁ。今代の神の代理だ」

「神さま?」
「代理だって」
「まぁ、見えへんわな」
「生憎おれは神様にめぇつけてもらえるような人間ちゃうで?悪魔との契約はしとるけどな」
「あぁ。単にお前さんからいけば探しやすいって報告でな」
「あ?」
「米倉麦子・・・さん、は彼女か」

「"神さま"がおれの麦子になんの用や?」
「さぁて?なんだと思う?」
「・・・・・・」
「コバセン。挑発しても仕方ないわ。
今回の仕事は彼女のポテンシャルを測ることなんだから」
「ポンカンシャーベット?」
「ポテンシャルや、麦子。
まぁ言えば潜在能力やな」
「洗濯の?」
「ノルのもいやなボケかますな」
「それが大阪商人の言う台詞かーっ」
「つっこまれたいなら突っ込まれたいなりのボケかませやっ!別のもんつっこむで!」
「はい、そこ教育的指導なー、一応教師だもんで」

「っていうかホントになんでこんな仕事引き受けたのよ、コバセン」
「あ?面白そうだなって。
まぁ植木もフラストレーションたまってるかなと」
「あんたが付き合えばいいじゃない」
「たまにゃぁ違うのと遊ぶのもいいだろ?」
「女の子相手なんだけど」

「っつーか麦子と喧嘩してえぇのは俺だけやぁああ」
「あ。そっちの突っ込みなんだ」
「大丈夫だって、テルちゃん」
「あぁ?何がや」
「この人なら絶対怪我しないと思うから!」
「お前の犯罪歴心配しとるんとちゃうわぁあああ」

「うわー、大変だ、少年」
「そうなのか?」
「そーなの」


・・・・・・・

 フォロー皆無だなぁ…
 っていうか、本気でこのあと俺はどうするつもりだったの? (と、自分で首を傾げるこの展開

・・・・・・・


  その2:聖☆おにいさん
言わずと知れた最聖コンビののんびり休暇物語
彼らに関しての設定はどうしたもんかってなわけだけど
まぁこっちと向こうは違うんだろうなぁ、と
(むこうは"死者"の天界だし)
確認作業、ってよりは報告作業ってな感じで
っかしコバセン、天使面子と愛称悪そうだ


・・・・

「というわけで本日は立川にいきます」
「どういうわけだ?」
「っていうかなんの用よ」

「天界・・・っちゃぁ天界なんだが、まぁどっちかっていうと"三途の川"側の天界からの依頼でな」
「・・・・・・・・・ちょ、おま」
「三途の川かー」
「で?」
「あぁ。立川」
「うん。それはわかったから」

「まぁそこにいる人たちがゲンキでやってるかどうか、ってな」
「・・・・・・・・・・・・・え?なに、神の代理人ともあろー我々が、ご機嫌伺い?」
「ざっくりいうとな」
「よくわからん」
「意味が分からない、ってことよ、事実」
「まぁ、いけばわかるって」
「むぅ」


ぴんぽーん

「・・・・・・すごくふつーのアパートなんだけど」
「普通だな」
「そーだな」

「はい、どちらさま・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・ちょっとしつれいします」
「へ?」

ぐい、ぐい。

「って。なんでフツーじゃなさそうな人が住んでんのよ?!」
「だから態々俺たちが来たんだろ」
「ってぇええええっ」
「っつーか、素直にマジでアノ顔だとは思ってなかったわ」
「それはすごく同感だけどっそこじゃないでしょぉ」

「こんにちわ、お邪魔します」
「あ、しまったウエキっ」
「あ。うん、はい。はじめまして」
「はじめまして・・・って気があんまりしないおっさんだな」
「おっ」
「まぁおっさんてレベルじゃないご年齢なのは確かだけどな」

「ブッター?どうし・・」
「っ?!なんでっ、どーしてっ」
「森、くるしっ」
「いや、だってほら、なんなのここ?!」
「森、おちつけ」
「いや、むりだしっ、むりだっ・・て」

「あの、もしよろしければ、お茶でもどうですか?
あんまりここでにぎやかだと、大家さんが」

・・・・・・・・・・・大家さんに怒られるのを心配する仏教の祖ってなによ?!




「こんにちわ。イエス・キリストです」
「こんにちわ、ブッダ・シッダールタです」
「こんにちわ、ウエキコウスケです」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんなんだろう?この光景。
日本の「ウサギ小屋」という言葉ぴったりの焼けた畳の部屋の真ん中にぽつんとあるちゃぶ台には人数分のおちゃ。
周囲に目線を投げれば、ノートパソコンと、某漫画の神様のコミックス、あと

「・・・・・・・・・なぁ、森。アレつっこみどころか?」
「やめておきなさい、コバセン。
本人たちには非常に日常みたいだから」

小林がそっと指差した等身大フィギュアっぽいものは、カバンが掛けてあったり洗濯物かTシャツがかけてあったりする。
すごく、馴染んでいるみたいだから、放っておこうという話。
っていうか、偶像崇拝禁止してなかったっけ?

「コバセン、森」
「なんだ?」
「なによ」
「ちゃんと、挨拶」

・・・・・・・・・・・・

「森あいデス」
「天界特別地上緊急事態対応要員・小林。
そっちの"実家"からの依頼で様子を見てくるようにと上から命を受けた」
「実家って・・・
もぅ、とーさんてば相変わらず心配性なんだからぁっ」

・・・・・・・・・・・

「まぁ、愛されてる証拠だよ、イエス」
「でも子ども扱いだよー。私だっていい大人なのにー」

いい大人という年じゃないだろ。
いや、こういう人たちを年で数えてイイのかはわからないが。

「森・・・」
「めずらしいわね、コバセンが突っ込みたいなんて」
「いや、おれ宗教学が専攻だったんだよ」
「なんで引き受けたのよ」
「ナマでみれるんだぜ?!そりゃ興味あるだろっ」
「大真面目に言ってるのはわかるんだけどさぁ」
「あぁ」

「へー。すごいんだなー」
「でしょーw」
「それにしても日本語うまいなー、おっさんたちー」
「あれ?私が日本に来てたってお話しらない?」
「知らない。おしえてくれ」
「まぁ勉強する時間はあったからね」
「えー、仕事してるんだろ?」
「してるよ、でも今は有給休暇中」
「いいなー、コバセンもお休み多ければいいのに」


「・・・・・・なんであんなに馴染んでいるんだ?あいつは」
「基本知識がないから、かしらね・・・」
「あぁ。なるほど・・・」
「っていうか。"神様"にも気に入られるあたりが植木なんだけどねー」
「俺のだぞ」
「はいはい。で?様子見てこいって、なんか本当にまったりのんびり休みを満喫してるっぽいわよ?お二方」
「だな」
「で?」

「まぁ、のんびり過ごせてるって、この世界が平和な証拠じゃねぇの?」
「疑問が一つあるなら、この人たちの仕事ってなんなのかなー?ってのは、ちょっとあるけど」
「言うなよ・・・」
「でもさぁ・・・あれ?」
「どうした?」
「んー。いや、鳥が集まってきたような気がして。
餌付けでもしてるのかしら?」
「してないしてない」
「あげてないあげてない」
「いや、そんなに全力で否定しなくても」
「とり?」
「あ、だめよ、植木。あんた顔出したら・・・」
「へ?ぎゃっ、いたたたたたっ
いたっ、いたいいたいっ」
「っそ、馬鹿お前動物に好かれる才無くしているんだから・・・
って、普通こんな攻撃されねぇのに・・」
「そういえばそうよね。大概よけられるもんなのに・・・」

「えぇえええ?!うらやましい!」

「・・・・・・・は?」
「あぁ、好かれるのがディフォだからか?涅槃とか基本的に動物だらけだしな、絵を観ると」
「そういうもん?それで嫌われる植木うらやましがるってアリなのそれ?」
「ありらしいんだよねー、ブッタってば昔っから動物に嫌われたいからってDSのペットゲーム欲しがるくらいで」
「まじでか?!」
「それでもデータのにゃんこにまで好かれたときはさすがに落ち込んでたよー」
「まぁあれは基本的に好かれるようにデータ自体が組まれているだろうからな」
「ねー、でもだからブッタなんだよね」
「こばせん〜。いたいー」
「あー。大丈夫か?あぁ怪我してないが・・・」
「んー、ちくちくするー」
「治そうか?」
「へ?」
「いや、一応聖人だし」
「あぁ、なるほど」
「っていうか、お心遣いは感謝するが、却下」
「え?」

「あー、放っておいて下さい。
ただのくだらない独占欲なので」
「?」

「大丈夫か?」
「んー」

「で、えーと。実家の方にはなんて・・・」
「特にフツーにまったり過ごしてるって。
いわゆる親が出張とか一人暮らしの子どもの様子知りたかったって、それだけのコトだと思いますし」
「いい年なんだけどねぇ」
「25世紀とか気が長いですよね」
「いまでもお中元もらえるよ、困るのもあるけど」
「へー」



帰り。

「植木、大丈夫か?」
「ん、もうへーきだ」
「そっか」
「いちゃいちゃするな、あんたら」
「無理だ」
「無理」
「真顔かよ?!」
「まぁな」
「・・・・・・・・まぁいいけど。
でもこっちの"神様"とは全然違うわよね。2500歳とか2010歳位だし」
「まぁ、連中は生まれたときから選ばれた存在であるようなものだけどな」
「まぁ処女懐妊だったりわきの下から生まれたりねー」
「わきのした?」
「そういえばブッタさんて息子いたんじゃなかったっけ?」
「・・・まぁその辺はなぁ
・・・・・・報告書頼むわ」
「えー、またわたしぃ?」
「まったり話してたじゃねぇか」
「なにその押し付ける気満々だった反応」
「いや、おれもあそこまでニートに馴染んでいるとは」
「有給休暇って言ってたぞ?」
「まぁそうなんだけどね」



  その3:ムヒョとロージーの魔法律事務所
……スイッチはいったんだ。
ジャンプとゆーより、サンデーテイストな漫画だなぁ、と
以下、プロトシナリオ
とりあえず俺様対決?が書きたかったらしい
ムヒョは人の能力を観ることが出来ると思いながら、以下




「というわけで、うちのがっこに出てるのを片付けて欲しいんだ。
いかんせんテスト期間直前、だからな。
早いほうがいい」

六氷魔法律相談事務所の久しぶりの客は、随分ゾンザイではあったが、ちゃんと「教師」をしている人だった。
銀の髪が夕暮れがかった窓の外の空色にきらきらととける。

「おめぇみてぇのが俺に依頼するのか?」

対する執行人・・・所長であるムヒョもまるで対抗するかのようにその態度は偉そうで、しかも奇妙な問いに紅茶を差し出した助手はきょとん、となった。
どういう意味だろう?
首をかしぐ。
ただ、言われた本人はその意味合いを組んだようで、ふん、と鼻を鳴らす。

「生憎、こいつぁ労災にはならねぇからな」
「案外オメェが起こしちまったんじゃネェのか?」
「俺がそんなドジするかよ」
「ヒッヒ、いうねぇ」

もう、ムヒョったら、お客さんにそんな態度しちゃ駄目だよ!
いつものように窘められればいいのに、二人の間にある奇妙な空気がロージーを蚊帳の外へと放り出す。

(なんていうか・・・似たもの同士?)

その姿は違っても、纏う空気はたしかにそれだ。
なんというか。
すごく、俺様。

それがわかって、つい笑ってしまった。
じろり、と上司に睨まれる。
ごめんなさい。

「俺の見立てが間違ってなければクラスは悪霊。
時間は3日。動くのは放課後だが、調査するんなら校長に話をつけて転入生とあつかう。俺のクラスだがな」
「がっこう!」
「テメェの生徒?ぞっとしネェな」
「なに言ってんだ」

うちのクラスほど人間出来たやつらはいねぇぞ?





 以下、某オンリーにて無料配布したすちゃネタ
 一応本編?っていう感じです。えぇ
・・・・・・・・・



その人は夕暮れのオレンジがとてもきれいな夕方に事務所の扉をたたきました。



 chapter;01 依頼人



銀の髪とエンジのスーツ。
最初、あれ?どっかで変なお金借りたっけ、とその人を見た時に思ったのは秘密です。
もちろん、困窮してても、手は出しませんよ?
実際、その人は依頼人だったんですから。

「悪霊を片付けてほしい。場所は鈴風市の火野国中学。
アナベル・リー、の通り名の奴であると判断した。現在はまだ、犠牲者はいないが」

それにしても、初めての類になる依頼でした。
だって普通なら一番最初の「悪霊をどうにかしてほしい」、場所までいえたなら大分上等な方です。
大概の人は普段鉢合うことのない異形の姿や気配に混乱していますから。
けれどその人は確信すらもってそうと告げ、果てはうちの執行人を挑発するよな態度を隠そうともしていません。
いえ、それよりも不思議だったのは、悪霊の「名」まであたりまえのように口にしたことです。
お客様ですからもちろん、紅茶を入れさせていただきまして、当方の執行人の隣に立っていた僕ですが、どんな顔をしていいのかすら困ってしまって、ずいぶん下のほうにいる上司をみたのですけれど、ひねくれ者で通っているその人は、にやりと笑ってすら見せていました。
「そこまでわかってるなら、自分で片せよ、オッサン」
「ちょっ、ムヒョッ」
せっかくの(久しぶりになる)お客様に早速暴言です。
あわわ、と戸惑う僕とは対称的に、ご本人は何故か面白そうに笑ってすらいらっしゃいます???

「あいにく俺の仕事は死者を裁くことじゃない。生きているやつらに、これから生きていく術の一つとして勉学を教える身分でな。それに」

俺自身が罪人なのに、なぜそんな真似ができる?
続いた言葉は、謎掛けのようでしたが、答えは残りませんでした。
その人は(小林さんと名乗ってました)「来週にはテスト週間はいるから、その前までによろしく」とだけ残して事務所を後にされました。




「案内っていっても、たいした距離じゃないんですけど。小林から頼まれています、森あいと」
「植木耕助です。お願いします」



chapter;02 案内人



学校に悪霊が出て、そんでもって、最初校長先生は何故かコバセンに「どうにかしろ」と言ったらしい。流石に専門外だと返したら、じゃぁしかたがないと校長は専門家に依頼したそうだ。
っていうか、どうにかできると思われている辺りが一番の問題だと思うんだけど、どうなのかしら?
果たして「別口」の仕事が入った、結局窓口として動いているコバセンは私達にその案内をおしつけたんだけど、専門家としてきたのはせいぜい高校生くらいの、しかもお人よしオーラ全開なのと、もっすごく生意気そーな面構えの小学生・・・っぽいの。貫禄が違うから(それこそ「神様」よりもありそうなんだけど・・・)見かけだけなんだと思うんだけど、なんとなく、アンバランスというか、逆にしっくりくるコンビというか。

「今日はよろしくお願いします。え、と小林さんは・・・」
「あぁ、コバセンなら神様の犬のおっさんに呼び出されて・・・」
「こら、植木」

だぁってなさい。なんで?馬鹿正直で変なところおおまじめな同級生で「仲間」のかしげる首を強制的に元に戻す。いくら不思議家業の人たち相手でも、うちの面子のそれよりはずっと現実的なんだから話すことではない、といっても、この正義馬鹿には通じないだろう。こいつにとって「神様」も、そこから来る「仕事」の依頼も、日常であたりまえのことなのだから。それにしても、日本語って難しい。


「神?」
「あぁ、あだ名みたいなもんですからっ、アレの副業ですからっ」

こっちです、どうぞ。強制的に話を進める。っていうか、駄目じゃないね、公務員が副業したら。


案内先は音楽室。校舎最上階の、一番端。
何度か確認に訪れたその場所へは、いつもながら近づくたびに足が重くなるような錯覚がある。

「・・・・また濃くなった」
「あぁ。靄みたいなやつ、だっけ?」

私には見えないが、植木やコバセンにはそんな風なものが漂っているのが見えるそうだ。錯覚が錯覚ではない証拠であるような、もの。
ふと後ろをみると、草野と名乗った人もどこか歩きずらそうだ。因みに、六氷氏(未成年ではないのだろう。一応「所長」で「執行人」とやらと名乗ったのだから・・・多分、だけど)はまるでそれをぶった切るように堂々と歩いている。性格が出ているというか・・・うちの大将とよくぶつからなかったわね。

「霊燐が濃いよ、ムヒョ」
「みりゃわかる。というか・・・本当に犠牲者は出ていないのか?」

六氷氏がそうと問い掛けてきた。「あれ」は3日ほど前にうちの学校に現れたが、おそらく彼のいう「犠牲者」という点では今のところ、0だと私は答えた。

「コバセンから聞きましたけど、アナベル・リーはまず、相手を魅入って、支配。自分のエネルギー的なものを死ぬまで搾取する、そういう類の悪霊だそうですね」
「コバセンて、小林さん?」
「小林先生、でコバセンだ」

あぁ、なるほど。場違いな確認はまぁこの際仕方ないとして、私は案内人として話を進める。

「魅入られてるのはすでに何人かいますが、接触させなければ問題ないということで。
まぁ、動いてもそいつらの妨害はこっちで引き受けるよう、指示されてますから」

無駄な知識の塊みたいなコバセンいわく、魔法律とやらは非常に面倒なものなのだという。
人には過ぎたものだからな。人から過ぎた存在が、そんなことを言っていた。

「指示されている?素人がいても邪魔なだけだ」
「テスト期間前に、3日3晩眠らされた学生を保証する機能は学校にはないから俺らがやれって」

植木の注約。別に、自分が素人扱いされたことに対する感情ではないだろうが、私はその何度目になるかもわからない馬鹿正直にため息をつく。なぜ知っているんだという目線を、当人は気づかない。もっとも、正しくいうのなら、知っていたのは私達ではないのだが。

「そういえば、接触させなければって・・・、魅入られた人たちを拘束してるの?それとも」
「そんなことすればPTAが黙ってないですよ、理由なんか2の次にね。逆ですよ。お姫様を茨に閉じ込めただけです」

目的地に着いた。これだけは片付けたかったが,仕方がない。
盛り塩に始まり、十字架だの、謎の魔法陣だの、何故か祭壇数種類に箸を刺したご飯にお酒に榊に桃の枝にと半端な知識の名残たちが音楽室の前で奇妙な光景を放っていた。うぅ、恥ずかしい。

「えーと・・・」
「自力で努力した学生たちの結果です。まぁ、半分遊んでるのかもしれませんけど」

色々言いたそうな草野さんに先手を打って現状を説明する。犠牲者が出てないと、こんなもんだ。



「寝起きって機嫌が悪いのがそういえば普通だよな」

Chapter:03 眠り人

植物のにおいが鼻を掠めたようだった。微かに苦い、草のそれ。
閉じた扉の向こうに、濃厚な敵意と苛立ちを感じる。それに混じるには、あまりに健全な。

「植木」
「ん」

奇妙な中学生二人が短い会話を交わす。魔法律について、まるでうちのアホ助手よりも詳しい上に、肝も据わっている。植木と呼ばれた男のほうは、霊燐までみえていた。
大体、アナベル・リーという名を知っている上に、それだと判断できる男という時点で、既に異常だ。この件はどうにも不愉快で仕方がない。暢気な助手は久しぶりの仕事と浮かれているのだが。
「彼女」を閉じ込めておけるだけの結界ともなれば、それこそ魔監獄クラスのものでなければならないはずなのだが・・・

「一陣しか張ってないんで、開放したら多分すぐ動きます。あと、よろしく」

森と名乗った娘が一言。隣で、植木が構える。無手の指先に集まるのは、煉とは違う色彩の力。

「旅人、解除」
「うわっ?!」

ロージーの声があがる。爆発的な風、いや、霊圧。霊燐があくまで、そこからこぼれ出したのだと物語るほど、酸素が薄くなる感覚。めまいがするほどの悪意と敵意、そして絶望にも似た恐怖。
耳障りな音を立てて戸が倒れた。
めちゃくちゃになった机やいすの中、何故かピアノは無事に見えるのが気になる。
その中央、霊圧の嵐の中で、獣のように、半透明の娘が吼えた。
資料でしか観たことのない連中と対峙するのはめずらしくない。
アナベル・リー。引き裂かれた恋の悲劇のヒロインが、その絶望に変質した姿。

「ロージー!」
「はいっ」

どの道、同情も混乱もしている暇はない。短い言葉を幸い正確に悟り、助手はその手に符を構える。
見届ける暇もなく、こちらも書を開いた。
あとは、裁くだけの時間だった。



「今回は傷つけることが目的じゃないから、ま、大目に観てもらうってことで」

 Chapter:04 防人

もうちゃんと、コバセンから十分な天界力を借りている。
結界代わりにつかった(説明が面倒だから一応「結界」ってあの人たちには説明したとは森の説明)旅人を解放したことで、あふれた彼女の「気配」に引っ張られて見覚えの在る連中がなんだかゲームでみたようなゾンビよろしく集まってくるのはあっという間のことだった。
既に魔法律の専門家達は自分達の後ろでその元凶と対峙している。
うちの学校の連中ぐらいは、私達が面倒見なくちゃね。森の言葉に、オレはもううなづいていた。
足止めするために、その辺りで一杯山積みにされていた、「もうごみになってしまう」それらを拾っては、力をこめる。
攻撃のためではない。茨姫のそれは、あくまでも彼女を守るために延びたのだから。

「植木」
「なに?森」
「とりあえず、あのポーズにできる?」

どの、とは聞かなかった。大体、わかるから。森が要求すること。狙ってるとこ。
確かに、ずっとオレの木・・・ってか蔓で縛っているよりは負担が少ないと思うけど。
でも黒い学ラン連中ばっかり、いくらオレでもあんまり気持ちのいい光景とは思えないんですけど?

「コバセンのなら、みたいけど」
「コバセンのがみたくないわよ、私は」
「かわいくないか?」
「ないわねー」

そう見えるのはあんただけよ。森の言葉はいつも、そんな切りかえしでまとめられているような気がするけど、まぁいいか。

「とりあえず、片っ端からおとなしくさせるわよ!」

腕がなるわー、と森はすごく楽しそうに言った。
実際そうしないと彼らが傷つくのも事実だったので、同意する。
だけどその直後、背後ですごい気配がした。
それこそ森も、それどころか「魅入られていた」って奴らすら、度肝を抜くほどの。
振り返った先で、ものすごくばかでっかい槍が、無慈悲に異貌の茨姫を貫いていた。



「おつかれさん」

 Chaper:05 執行人

「終わったか?」

校長室ってわけにもいかないので、終わったら社会準備室にと指示しておいた。
やっとのことで天界での仕事を終わらせて戻ると、あたりまえのように来客には茶が入っていた。
まぁ、ここにあるのはオレか植木か森の私物しかないのだから、今更なのだが。
植木はすぐにちょこちょこと寄ってきて、疲れも忘れる笑顔で迎えてくれる。

「うん。コバセンは?」
「こっちもなんとかなー。ったく、書類くれぇ向こうで直してくれりゃぁいいのに」
「そうにもいかないでしょ」

・・・・・とまぁ、さらさらと指をすべる髪を心行くまで楽しんで、せっかく癒されてたのに、おかーさんが怖い顔でこっちをにらむ。ちゃんと頑張ってきたのにつめてぇの。

「それにしても、依頼人は一応校長先生なのに、いいの?この場所で」
「だってほら、聞きたくても校長室じゃ答えられんこともあるだろ。俺達の場合」
「・・・・・・それもそうだな」
「きかねぇよ、めんどくせぇ」

えぇえ、配慮したつもりなのだが、まさかの切り替えし。その隣で、好奇心を満たしたくてわくわくしていたたんぽぽ頭がものすごく残念そうな顔をみせた。表情豊かなやっちゃなー。これはいぢめがいがありそうだ・・・と思ってたら、無言で森ににらまれる。はいはい、やりませんよ、んな野暮なこと。

「こちとら仕事が終わればそこで終了だ。それが俺達魔法律家だからな」
「さすが、最年少執行人。言うことが違うな」

くく、っと笑うとえぇえ、という助手の顔と声が面白い。まったく、狭い世界の自覚って奴だな。

「おめぇ何者だ?」
「興味はないんじゃなかったのか?」
「色々、不愉快だからな」
「言ったろ?ただの中学校社会教師だよ」

どこがダという突っ込みに、今度こそオレは爆笑した。


IT was many and many a year ago,  
In a kingdom by the sea,
That a maiden she lived whom you may know  
By the name of ANNABEL LEE;
And this maiden she lived with no other thought
Than to love and be loved by me.  
I was a child and she wa a child .
In this kingdom by the sea:
But we loved with a love that was more than
love −−  I and my ANNABEL LEE;
With a love that the winged seraphs of heaven  
Coveted her and me.  
And this was the reason that, long ago,  
In this kingdom by the sea,
A wind blew out of a cloud,chilling  
My beautiful ANNABEL LEE;
So that her high-born kinsman came  
And bore her away from me,
To shut her up in a sepulchre  
In this kingdom by the sea.
The angels, not half so happy in heaven,  
Went envying her and me -
Yes! - that was the reason
(as all men know,In this kingdom by the sea)  
That the wind came out of the cloud by night,
Chilling and killing my Annabel Lee.
But our love it was stronger by far than the love  
Of those who were older than
we?Of many far wiser than we?  
And neither the angels in Heaven above
Nor the demons down under the sea,  
Can ever dissever my soul from the soul
Of the beautiful Annabel Lee  
For the moon never beams, without bringing me dreams
Of the beautiful Annabel Lee;  
And the stars never rise, but I feel the bright eyes
Of the beautiful Annabel Lee  
And so, all the night-tide, I lie down by the side
Of my darling - my darling - my life and my bride,  
In the sepulchre there by the sea-
In her tomb by the sounding sea

   Edgar Allan Poe、1809.1.19 ? 1849.10.7.

おまけでアナベル・リーのモデル?となったオリジナルの詩を
もっとストーリー的に掘り下げるべき設定があったんだけどそこはそれ(待て
かのミステリー?作家・エドガー・アラン・ポーの最後の詩
死後、2日後に発表されたものです。和訳も調べればすぐひっかかるかと。
先に逝った嫁さんに綴った詩ですが、その当の彼女は結婚時13歳。
なくなったのは24歳です。
因みにご本人、結婚当時27・・・だった、かな・・・(滝汗
その彼女・ヴァージニアがなくなる直前、夫に残した言葉
「私が死んだなら、あなたを守る天使になってあげる。あなたが悪いことをしそうになったら、
その時は両手で頭を抱えるの。私が守ってあげるから……」。





 その4;ケータイ捜査官7
これは本人の能力じゃないから微妙にどうよ、と。
まぁ天界は能力があるからITの発展が遅かったということで
これ別にセブンからませずに書いても面白そうだ

========

「ネットワークテロ?間違いないのか」
「ないみたいです。頭が痛いことに」
「天界のソレってどうなっているのよ」
「なさけない話なんですけど、僕たち天界の人間て、特殊能力が発達している分、科学力は欠いています。
正確には先の大戦で"戦う"為の技術は向上しましたが、コミュニケーション関係に関するものとなると」
「だって戦争やってたのなら情報だって大きくて重要なシステムなんでしょ?
発達しててもおかしくないと想うんだけど」
「あぁ、そりゃあの大戦が"戦争"というより"抗争"っていうのが正しいのが原因だな」
「コウソウ?」
「力と力の、単なるぶつかり合い。
ものすごくちっちゃくまとめると、喧嘩だ」
「ちっちゃ?!」
「大戦とは名ばかり。単発的な小競り合いの連続と考えてもらえればいいのも事実です」
「なのに、エラい兵器つくりまくってますこと」
「戦争になれば、人間界とて無事にはすまない。
使い勝手に困る兵器の開発が、当時の連中を我に返らせた」
「我に返っただけ、偉いんじゃないか?」
「さんきゅ」
「使われない危険な兵器の多さは理解したわ。で?」
「今天界の技術力は、その危険でしかない兵器の無力化、そして治療関係に注がれています」
「うん。遠回りはいいから」
「あぁ、すいません。森さんをみているとどうしても言い訳が」
「なにそれ…」
「まぁ、簡単にいうと、セキュリティに回る金がない」
「あぁあああ小林さぁあああんんん」
「一番分かりやすいだろうが」
「そぉですけどぉおお」
「ってわけで、人間界のネットワークをそのまま借りてやってるんだが」
「天界のこと知ってるのか?その人たち」
「いえ。ダミー企業を通じて、利用させてもらっています」
「なにその格好の的状態」
「そんなわけで、大変もうしわけないんですけど、ちょっと案内して欲しいんです」
「どこに?」
「天界に、ネットワークトラブル専門のエージェントを、です」
「はい?」


「えっと。アンダー・アンカー派遣のエージェントくん?」
「あ、はい。網島ケイタです」
「あ、よろしく・・・って、高校生、よね?」
「まぁ、バイトですけど。大丈夫です」
「だって、コバセン」
「ま、頼らせてもらっているこっちが品定めするこっちゃねぇよ。"会社"まで案内する。乗ってくれ」
「はぁ」

「なんだろ、この誘拐感…」
「森?」
「なんでもないわ。天界の異様さを、彼が気がつかなければいいんだけど」


=========


えーと、けっこう前に。
「うえき + DANDOH!! + BLEACH + HOLIC + 名コナン」
をやったんですねー
で、その設定でHOLIC×うえき その@
(基本的に魔女とコバセン知人)



彼ははぁ、とため息をついて、バイト?先の戸を押し開けた。
手にはスーパーのビニール袋。
というのも、例によって昨日の帰り口、雇い主???が妙なことを言ったからに他ならない。

「明日、客が来るからお酒の準備よろしくね」
「連絡があったんスか?」
「なんで連絡があるのよ」
「・・・・・・・なにが好きな人なんですか?」
「イナゴ以外ならなんでも平気だから、イナゴも買ってきてねw四月一日」
「そーですか」

おかげさまで当然のように結構遠くまで買いに行ってしまった。
っていうかこの状況に立たされる、素直な自分が恨めしい。

「ユーコさん、お客さんいついらっしゃるんですか?」

いつものように(玄関にはまだ靴がなかったので)両腕に迎え出てくれた二人の少女をひっつけながら、居間?の扉を開けながら問うと、ん?という感じで振り返った見覚えの無い銀の頭。

「わ、すいません。靴がなかったから」
「あぁ、こいつさん窓から入ってきたから」
「窓から?!」
「あぁ。だってめんどうじゃねぇか、玄関からこの部屋遠いし」

遠い、だろうか?と少し首を傾げた。
いつもマルとモロがじゃれ付いてきているせいか、あんまりそう感じたことは無いのだが。
そういえば、この人に覚えがあった。
あぁそうだ。妙な店に酒を買いに行かされたときにすれ違ったけど、相手が覚えている様子はなさそうなので、黙っておくことにして、じゃぁすぐしたくしますね、と言ってさっさと引っ込むことにする。

「準備?」
「呑むでしょ?」
「昼間っからか?」
「えぇ」
「・・・・・・・まぁ、嫌いではないけどな」
「いいじゃない。それで」
「それもそうか」
「最近呑みたいこと重なってるみたいだしー」
「・・・・・・っせぇ」

扉を閉じて、台所にいこうとした。
いつもの「客」とは違って、なんとなく「常連」とでもいった雰囲気がそうさせたのか、それとも。

「あぁ、しょーねん」
「はい?」

咄嗟に、答えた。
この場所でそれに該当するのは自分だけだから。
なにかが放られる。
猫みたいなしなやかさで、マルがそれを自分の顔の目の前でキャッチした。

「しお?」

さらりと、小さな瓶につまった、それは少なくとも塩に見えた。

「あれが"報酬"?」
「そう考えてもらっていいぜ」
「少ないわね。懐の全部出しなさいよ」
「ばか、これがねぇと仕事になんねぇんだよ。
おこぼれ渡すだけで満足しろよ、魔女」
「冗談じゃないわよ。似た願いの為に他の人間がどれだけの代価を払っているとおもってるっていうの」
「別に、短期間だしかまわないだろ。サービスしろって。ついでにこれで」
「あらーwいいおさけ」
「当たり前だろ。ふんだくってきた」
「どこから」
「ジジィのとこからだ」
「あらあら。"御神酒"ってわけ?」
「そういうことだ。ま、ノベルティってやつだな」
「ふふ、まったく、食えない男ね」
「冗談。俺なんて一般人だぜ」

とりあえず、扉を閉めた。
一般人じゃない連中の会話は、一般人をめざす彼には少々、毒が強かったから。




 HOLICそのA 森ちゃん
============


「あっちゃ、ごめんなさい、勝手に上がっちゃって・・・」
「おきゃくさまー」
「おきゃくさまー」

小さな女の子たちが私の手を取る。
「いつの間にか」入り込んでしまった屋敷ともいえるその家の空気は、私の少し知っていて、知らないもののような。

「あら、いらっしゃい」

考えている間に扉は開き、大きなソファにゆったりと寝そべった女性がたのしげに私を迎える。
む、おっきい。

「え、っと・・・」
「いらっしゃい。わたしの"ミセ"にようこそ」
「おみせ?」
「えぇ。貴方の願いをかなえる、ミセよ」

願い?
それは、私が一番嫌いな言葉かもしれなかった。

「話の、願いは」
「・・・・・・」
「優しくないから、かなえて欲しくないです」
「・・・・・そうね」
「・・・」
「貴女にとってはたいしたことのない対価で、その願いは叶うわ。でも、だからこそ貴女はそれをかなえたくないのね」
「えぇ」
「あぁ、でもかなえちゃいけないって、わかってる願いを、忘れることはできますか?」
「無理ね」
「・・・」
「その願いをかなえる場合は、貴女の殆ど総てを対価にしなければならない」
「忘れるほうが難しいなんて、ね・・・おじゃましました」
「えぇ」

「あれ?ユーコさん。お客様いたんですか?」
「えぇ。帰っちゃったけどね」
「押し売り、しなかったんですね?」
「当たり前よ」
「・・・・」
「だってもらえる対価が、あまりにも大きすぎるから」

=====
 
 ちなみになんていうか。
 森ちゃんの願いは多分「あいつらがもう戦わないこと」
 けれどそれをかなえてしまえば、きっと駄目
 簡単な対価は彼女が自分で口にするだけでいい。
 その刹那だけで、多分、願いは叶う
 その代わり。
 忘れるには、彼女自身を捨てることになる
 そんなかんじ 






 これも一回やったんだけどなー
 うえき×WA;F
 前にやった奴の後日談展開
 でも続かない、と思う・・・んだけど
 建前上、戦わなくていい世界って、実は酷く、複雑

======


そこは、荒野とはかけ離れた灰色の世界。
人が溢れ、機械が溢れ、高い建物に迷い込み、歪んだ風の走る世界。

渡り鳥の二人は言葉を失った。
風が姿を得た亜精霊も言葉を失った。

そこは、彼らの世界ではなかった。
理屈ではなく、心がソレを理解する。

「なんなんだ、ここ…」
「・・・・・僕たちの知ってる、荒野はどこにもない・・・」

立ち竦む彼らに、だが幸いにも知った顔が手を差し伸べる。

「知った顔で助かったな」
「あら、わからないわよ。最近知った顔でも全然違う連中との交流多いんだから」
「確かめればいい。ロディ、ザック!久しぶり」

「ウエキ」
「コバヤシ…ッ、ここってお前らの世界か?!」
「一回つながった世界は行き来しやすいらしーな。
うわー、なんかやな結論だ」
「今は別の話よ。とりあえずこの人たち、格好はどうとでもなるけど得物隠さなきゃっ」
「それもそうだ」
「つかまっちゃうもんな」
「あ?」

「ここは表向き、戦う必要がない世界なんでな」
「なに?」
「モンスターもいない。魔族・・・はまぁいるかもしんないけどそうそう悪さはしない。
神様は時々サボって人間の恋人に逢いに来て、世界は技術という名の魔法でつながっている。
自分の足で旅をするのは物好きで、流れ者に得られる仕事なんてあまりない…管理された、文字通り灰色の世界よ」
「もっとも、お前らから見れば、だけどな」
「オレは好きだけどな、この世界」
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送